
本記事では配当貴族の意味や関係する指数を学びたい投資初心者のために、配当貴族や配当貴族指数という概念を解説します。
これを読めば株の配当収入を増やし、投資でも利益を上げるヒントがわかります。
Contents
配当貴族とは何か?
配当貴族とは年々継続的に一株当たりの配当金を増やし続けている銘柄を意味します。
配当金が何年連続で増え続ければ該当するかは人によって違いますが、25年以上続けば間違いなく定義に入るとされます。
有名企業の中には、長年にわたり経営を発展させ続け、一株当たりの配当を増やし続けているものがあります。
こうした企業に投資して、増え続ける配当金にあやかり、不労所得を重ねる資産運用戦略も考えられます。
企業の経営は山あり谷ありであることも多く、長期間にわたり配当金をプラスできるほど経営を上向きにさせるのは難しいとされています。
そのなかで成長を続ける企業はビジネス業界に限らず投資者にとっても信頼しやすいです。
成長を重ねて配当貴族の仲間入りをすれば、投資業界でも安定した銘柄として認められます。
配当貴族は株主重視の経営が得意
配当貴族は株主ファーストの経営戦略を展開している企業が多いようです。
成長を続ける企業は株価もどんどん上昇し、安定した利益を出し続け、株主に払う配当金も年々上がっていくなどの特徴があります。
このようなメッカ的企業は、配当金をどんどん上げて株主を増やしたり長年定着させたりすることを狙うため、意図的に株主ファーストの経営体制を実践していることも多いです。
配当金だけでなく株主優待のサービスや投資者向けの情報など、手厚いおもてなしや情報の透明性などで常に見る人を安心させているのです。
こうした企業は株価でステータスが決まりやすいアメリカの企業に多く見られます。
そのうち世界的なブランドが日本に多く進出した結果、現在では日本の大手会社にも株主ファーストの経営をしている企業があると考えられます。
しかし現時点で日本発祥の会社のうち、25年以上配当金を増やし続ける配当貴族に該当するのは「花王」のみです。
20年を超えた程度ならリコーリースや小林製薬など複数あります。
配当貴族指数とは何か?
配当貴族指数とは、長年株の配当金を増やし続けている企業の優良株を対象に独自計算された株価指数で、市場の安定度を測っています。
長期的視点で配当貴族指数が上がり続けている企業は、投資業界でも信頼度が高く、初心者がターゲットにしても得をしやすいと考えられています。
配当貴族指数を計算しているのはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスと呼ばれるグループです。
株価指数など金融商品のステータスにまつわる情報を提供する「インデックス・プロバイダー」という事業を展開しています。
安定して株で利益を上げたいと望むなら配当貴族指数は参考にすべきでしょう。
初心者でも投資しやすい案件とそうでないものを見分けられるための大切な情報だからです。
もちろん配当貴族指数が高い方に投資したからといってすぐに利益が出るとは限らず、暴落に巻き込まれるリスクもありますが、一定の判断目安に利用できるサインなのは確かでしょう。
配当貴族指数を構成する銘柄タイプを4つ紹介
配当貴族指数にも複数のタイプがあり、代表的なタイプはS&Pが展開する4つの指標です。
それぞれのパフォーマンス状況や業種別を意味するセクター別内訳、該当する銘柄の例などを紹介します。
これを読んで、各指数の全体像をつかみましょう。
S&P 500配当貴族指数
S&P 500は、アメリカのニューヨーク証券取引所、NASDAQ、NYSE MKTにある企業株のうち、代表的な500銘柄の株価から算出される指数です。
このうち、25年連続で配当金が増えている企業を対象に、S&Pが独自の指数をつけているのがS&P 500配当貴族指数です。
対象銘柄の重要度を均等にして指数計算をすることで、企業の規模や業種などに関係なく、その時期にどれが投資にふさわしいかを判別する材料とします。
過去10年間にわたり、トータルでは年々上がり続けており、投資初心者にとっても注目すべき指数とされます。
生活必需品または工業分野の占める割合が多く、アメリカの小売業大手「ターゲット」やお酒のブランドであるブラウン・フォーマンなどが有名です。
AT&Tやシスコといったコンピューターテクノロジー企業の活躍も目立ちます。
小売業やテクノロジー系を中心に、市民の生活と密接にリンクした事業がS&P 500配当貴族指数の対象として多く取り上げられています。
S&P高配当貴族指数
S&P 高配当貴族指数は、20年続けて配当金が増えている企業のパフォーマンス指数を測っています。
ベースはS&Pコンポジット1500指数というアメリカ株式市場の全銘柄を対象にした指数で、その対象銘柄から高配当貴族指数の条件に当てはまるものがピックアップされ、オリジナルに指数計算されています。
配当金の連続プラス期間が20年とS&P 500よりも基準が緩く、より多くの企業が指数計算の対象となっており、投資者にとっても銘柄の選択肢が広がっています。
こちらも過去10年では上昇傾向で、S&P 500の2倍以上のパフォーマンス指数を記録しています。
長年安定した収益を出している企業だけでなく、近年話題の成長企業も対象となっており、そのとき旬な企業のステータスが反映されがちです。
こちらでも工業や生活必需品の分野が多めに割合を占めていますが、2分野に迫るほど目立っているのが財政分野です。
AT&TやインテルなどのIT企業、アッヴィやカーディナルヘルスなどの医療分野などが目立っています。
リアルティ・インカム、ナショナル・リテイル・プロパティーズ、タンガー・ファクトリー・アウトレット・センターズといった不動産投資信託部門の活躍も顕著です。
S&P汎アジア配当貴族指数
アジアの株を対象にしたS&P汎アジア総合指数のうち、7年連続で配当金を増やしている銘柄のパフォーマンスを数値化したものです。
こちらはアジアの企業などを対象に配当金の増加期間に基づいて銘柄を揃えたうえで指数計算しています。
配当金の連続増加期間が7年という緩い条件なので、安定感のある企業とそうでないものが混じっている印象です。
そのため過去10年のパフォーマンスは横ばい気味になりながら少しずつ上昇している印象です。
その間、上下を行ったり来たりする傾向が前の2つの配当貴族指数より強いです。
しかし現在の指数はS&P高配当貴族指数をわずかに上回るレベルとして注目されています。
該当する銘柄はセクター別で分けると、生活必需品や工業系、IT系で半分程度の割合を占めています。
代表的な銘柄には、USBやマイクロSDチップなどのデータ記憶デバイスを中心に扱う台湾企業のファイソン、オーストラリアのミルヴァックやチャーター・ホールなどの不動産投資関係などが挙げられます。
S&P/TSXカナディアン配当貴族指数
S&P/TSXカナディアン配当貴族指数は、カナダ株を対象にしたS&Pカナダ総合指数に含まれた銘柄のうち、配当金が5年以上連続で増えているところを対象にした指数です。
カナダを拠点としている企業で安定していたり旬であったりするところがわかり、指数でカナダ市場全体の安定度がわかります。
過去10年間のパフォーマンスはジリジリと上がっていますが、現在は200台後半の指数を推移しており、ほかの3つの配当貴族指数とは大きな差があるのも事実です。
セクター別の内訳は財政部門がトップで、続いて電気・ガス・水道の公共事業やエネルギー部門が続いています。
生活必需品や工業が目立つほかの配当貴族指数とは一線を画しています。
ローレンシャン銀行、不動産投資信託のチョイス・プロパティーズなどの金融が関わる企業や、電力会社のトランスアルタ、石油・ガス事業のインターパイプラインなどがここに加わっています。
まとめ
株主として配当金を手に入れようと考えるなら、配当貴族の存在に注目しましょう。
10年、20年以上連続で株の配当金を増やし続けている企業は、投資業界でも信頼度が高いとして注目されています。
市場の安定性を測る配当貴族指数も要チェックです。
指数計算の対象銘柄は安定感と将来性に恵まれており、指数自体も高いほど参考にしやすいでしょう。
こうした情報をヒントに投資戦略を組み立ててはいかがでしょうか。