
豊かな老後を送るため、できるだけ若い時から資産形成を行っておく必要があります。
もし、定年退職した後に貯金も金融資産もなければ、日常の生活だけでなく、病気やケガなどの医療費や入院費にも困ってしまうことになりかねません。
また、定年後に受け取れる年金は徐々に減少した場合、私たちが高齢者になった時には、生活するのもやっとの支給しか受けられないかもしれません。
この記事では、貯金ができる人・できない人の特徴から、具体的な実践方法まで解説しています。
Contents
定年退職後の年金で豊かな老後が送れるのか?
もし、老後に貯金がなければ、一体どうなってしまうのでしょうか?
たとえば、銀行に行っても残高はゼロ、株式や不動産などの金融資産もない、結婚もしておらず子供もいない。
定年退職で会社も辞めてしまった。
さて一体どのようにして生きれば良いのでしょう。
私たちは定年退職後にも安定した生活を送れるよう、若いころから年金を納めていますよね。
仮に、老後の貯金がないというようであれば、自然と頼るべきはその年金になるでしょう。
では、果たして年金だけで老後の生活は成り立つものなのでしょうか?
厚生労働省が発表する「厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にしてみました(平成29年度)。
・国民年金(単身):55,615円
・国民年金(夫婦):111,230円
・厚生年金(男性):166,668円
・厚生年金(女性)103,026円
・厚生年金(夫)+国民年金(妻):222,283円
・厚生年金(夫婦):269,694円
夫婦で厚生年金を受給できるとしたら、一か月の年金額は27万円近くになります。
しかし、単身世帯になると年金支給額は一気に下がってしまいます。
厚生年金でも男性で約16万円、女性だと月に10万円ほどしか受け取ることができません。
また、自営業の方や個人事業主の方が対象の国民年金の場合、夫婦でも11万円ほどの年金しか受け取れないことが分かります。
独身の場合だと、さらに生活が苦しくなるのは目に見えて分かるでしょう。
老後のお金が必要な場面は、何も食費や家賃、車代ばかりではありません。
体を壊したときの治療費から、大きな病気にかかった時には入院費も必要です。
こうした将来のリスクに備えたお金を用意するためにも、年金だけでは決して十分とは言えません。
なぜ老後にお金が貯まらない?貯金できる人・できない人の特徴
老後に貯金が必要ということは、大人であれば誰しもが分かっているところでしょう。
しかし、必要性は理解できても、なかなかその行動に移せない、貯金したくてもできないという人もいます。
厚生労働省が行った「国民生活基礎調査の概況(平成28年度)」によると、65歳以上の高齢者世帯で、「貯金がない」と答えた割合は15.1%にも上っています。
およそ6世帯に1世帯の割合で、貯金のない老後生活を送る人がいるということです。【参考:国民生活基礎調査の概況(平成28年度)】
では、なぜ貯金をできる人もいれば、できない人もいるのか。
それぞれのタイプを探ってみましょう。
貯金ができない人の特徴
貯金ができる人・できない人は、ある程度のタイプに分けて考えることができます。
ここでは、貯金ができない人の特徴を数点ピックアップしてみました。
- 手元にお金があれば目的もなく浪費してしまうことが多い
- 将来のことは「なんとかなる」と思っている
- 将来設計を立てていない
- 家計簿や収支表を付けようとしない
- 家計簿をつけることが目的化してしまっている
この中でも特に、「将来設計を立てない」「家計簿をつけない」という特徴が目立ちます。
人間の先々のことは誰にも予測することはできませんが、一方で、しっかりと目標を立てて着実にゴールに近づこうとする人もいます。
また、「家計簿」も将来の目標と密接に関係があります。
たとえば、「毎月の収入と支出金額を記入するだけ」という方は、貯金できない人の特徴に該当しているので注意が必要です。
本来の家計簿は、過去の消費動向を分析し、次の一か月の予算を立てるために利用します。
そのため、家計簿をつける時は、「自由に使えるお金を、将来の何のためにいくら使うのか」ということを計算して作成していくべきでしょう。
将来の目標がなければ、「何のためにお金を使うのか」ということも見失いがちになってしまうのです。
貯金ができる人の特徴
- 金融リテラシーについて学び実践している
- 資産形成に「おいしい話」はないことを理解している
- 将来的な設計図を作っている
- お金の貯まる仕組みを作っている
この中でも注目すべきは、お金が貯まる仕組みを作ることです。
たとえば、毎月10万円ずつ貯金していけば、25年後には3,000万円が貯まりますよね(単利の場合)。
65歳の定年時にその3,000万円を用意しておこうと思えば、40歳頃から貯金をスタートすれば良いことが分かります。
また、毎月の給与から10万円ずつ銀行に振り込んでいると、どうしても積立額にズレが生じます。
「今月は同僚との付き合いが多かったから5万円で良いか」など、状況によって貯金額が変わってしまうことが起こり得ます。
そこで、財形貯蓄や銀行の積立預金サービスなどを利用して、自動的に貯金ができる仕組みを作ってみましょう。
「老後に貯金がない……」|解決手段は?
老後の貯金を貯めるには、先ほど紹介した「貯金できない人の特徴」から抜け出し、「貯金できる人の特徴」を真似してみることをおすすめします。
少しでも老後のお金を貯めるには、以下で紹介する3つのポイントを活用します。
(1)計画を練る
(2)貯めたお金を使わない仕組みを作る
(3)実践と改善を繰り返す
お金を貯めるのが上手い人ほど、計画的に行動することが多いです。
たとえば、先ほどは40歳から月に10万円ずつ貯金すると、20年後には3,000万円が溜まっていることを紹介しました。
今度はそれを逆算してみましょう。
(1)65歳までにいくら貯金したいのか?
(2)その金額まであといくら必要か?
(3)毎月いくら貯めれば良いのか?
まず、65歳までに貯金したい目標を立てます。
その目標が3,000万円だとすると、現在の貯金額と照らし合わせて、あとどれくらいのお金が必要かが分かります。
20年は240か月なので、(2,900万円÷240か月=)おおよそ12万円ほどが一か月に必要となります(分かりやすく単利で計算しています)。
毎月の目標額が厳しいという場合は、貯金総額を少し下げてみるか、現在の収入を上げるしかありません。
では、収入を上げるためにはどうすれば良いのか考えていきましょう。
このまま順当に役職が上がっていけば、今よりも稼げるようになるのか。
それとも、副業を探して、収入額の底上げをするのか、などです。
このように貯金計画を練った後は、貯める仕組みを作ります。
先ほど紹介した財形貯蓄や積立預金などでも良いですし、投資信託など選択肢は様々です。
もちろん、どれだけ高い理想を掲げても、実践しないことには始まりません。
お金は早いうちから眠らせておくほど、将来に大きな金額となって返ってくるため、今すぐにでも始めるべきです。
まとめ
老後に貯金が必要ということは頭では分かっていても、なかなか実践に移すのは簡単ではありません。
事実、65歳以上の約6世帯に1世帯は、貯金がない状況です。
現実的に考えても、今後の年金支給額が上昇するより、逆に下落する可能性の方が高いといえます。
蓄えがなければ豊かな老後生活を送れない、そんなリスクがますます顕在化しているのです。
既に40代、50代という方でも、今から貯金を始めることは決して難しいことではありません。
定年後の計画をしっかりと描き、その目標に向かって確実にお金を貯めていけば、必ず豊かな老後生活を実現できるでしょう。