個人で投資する際に、どれくらいの運用利回りを目標に投資すればよいか、迷ってしまうことがあるかと思います。
投資経験が長ければ、ある程度の目安は把握できるかもしれませんが、まだ投資を始めたばかりの場合は、特に分からないケースが多いですよね。
今回は、そんな悩みを解決するべく、投資商品別の運用利回りの目標値を解説していきます。
利回りとは?
運用利回りの解説に入る前に、利回りの考え方についておさらいしていきましょう。
利回りとは、投資した金額に対する収益割合のことです。
通常、1年あたりの平均値を算出します。
計算式は以下の通りです。
利回り(%)=(分配金ー税金)÷運用年数×100
たとえば、100万円の投資商品を5年間運用して、50万円の分配金を受け取った後に、その金融商品を110万円で売却できたとしましょう。
この場合、元本の100万円が5年間で「60万円(分配金50万円+売却益10万円)」の利益を生み出しています。
1年間で、12万円の利益を生み出している計算になるので、年利回りは12%になります。
利回りを考える際は、分配金などの「インカムゲイン」と売却益などの「キャピタルゲイン」の両方を合算して、どれくらいの収益が得られたかを考えていきます。
利率とは?
利回りと似た用語で「利率」というものがあります。
「利回り」と「利率」は言葉の響きこそ似ていますが、実際は異なる意味を持っています。
利率は、1年間の元金に対する「利息」の割合を示すものです。
計算式は以下のようになります。
利率(%)=利息÷運用年数×100
先ほどの例に沿って考えると、1年間で10万円の分配金を得ているので、利率は10%となります。
投資商品を運用する場合、その多くは「売却可能」なものです。
よって、最終的には売却することも視野にいれて、投資計画を立てる必要があります。
これを踏まえると、投資計画を立てる際は、利率よりも利回りを重視して考えるべきだと言えますね。
表面利回りと実質利回り
利回りは大きく分けて、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類に分かれています。
投資の際に得られた収益のみに着目したい場合は「表面利回り」、投資にかかった費用等も加味したい場合は「実質利回り」を用います。
それぞれの利回りの計算式は以下の通りです。
表面利回り(%)=収益÷投資元本÷運用年数×100
実質利回り(%)=(収益ー費用)÷投資元本÷運用年数×100
投資商品の説明に記載されている利回りが「表面利回り」か「実質利回り」かによって、数値の大小が異なってきます。
たとえば、表面利回りが高い投資商品があっとして、実際の費用を差し引いた実質利回りを計算すると、そこまでパフォーマンスが高くない投資商品であったりします。
下手をすると、マイナス金利の商品を買わされてしまうこともあるので、どちらの利回りが掲載されているか、必ず確認するようにしましょう。
投資商品ごとの利回り計算と目標値
次に、投資商品ごとの利回りの計算と目標値について見ていきましょう。
株式投資
株式投資の利回りの計算式は以下の通りです。
利回り=(売買損益+分配金-売買手数料-税金)÷投資元本÷運用年数×100
株式投資の場合、運用中は「配当金」としてインカムゲインが得られます。
売却時には、株価に応じて売却益を得られることもあれば、株価下落に伴い、損失が発生することもあります。
東証一部上場銘柄の平均利回りが2.19%ほどですので、株式投資の運用利回り目標としては、この2.19%を超える数値を目安にすると良いです。
ジャスダックやマザーズなど、新興市場の銘柄の場合、利回りが高くなる場合がありますが、その分、損失が拡大するリスクもあります。
長期的に安定して運用するのであれば、東証一部銘柄への投資が無難と言えます。
不動産投資
不動産投資の利回りの計算式は以下になります。
利回り(%)=(家賃収入ー経費)÷不動産購入金額÷運用年数×100
経費には、維持管理費、固定資産税、火災保険料など様々なものがかかってきます。
加えて、家賃収入は不動産を貸し出している状態でないと発生しないので、空白期間の有無によっても利回りが変わってきます。
マンション経営などの案内に記載されている利回りは、その多くが「満室の場合の利回り」を指すものが多いです。
満室にならないと、記載の利回りも低い水準になるので、注意してください。
不動産投資の平均利回りは、東京都心部で4%台となっています。
地方になるとまた変わってきますが、都心部の場合は4%をひとつの目安にすると、バランスよく投資計画を立てられます。
投資信託
投資信託の利回りの計算式は、以下の通りです。
利回り(%)=(売買損益+分配金ー販売手数料ー信託報酬ー信託財産留保額ー税金)
÷投資元本÷運用年数×100
投資信託の場合、株式投資や不動産投資よりも「費用項目」が複雑になります。
なるべく、販売手数料や信託報酬が低い投資信託を選ぶことがポイントになってきますね。
費用項目の大小は、投資信託の種類によって変わってきますので、購入前に必ず確認するようにしてください。
投資信託の平均利回り(10年利回り)は、国内株式主体の投資信託で約5%、外国の株式も組み入れた投資信託で約8%、国内の債券中心のもので約1.2%、外国の債券中心のもので約4%となっています。
外国株式、債券中心の投資信託は利回りが高い傾向にありますが、為替変動による損失が生じることもあるので、注意してください。
投資信託の利回り目標は、上記の利回りの水準に達しているかどうかを目安に設定することをおすすめします。
まとめ
利回りの目標を立てる際は、まず利回りがどのように算出されているか、把握しておくことが肝要です。
利回りと利率は、似ているようで意味の異なるものですので、混同しないよう注意してください。
運用利回りの目標値は、投資商品によってことなってきます。
各投資商品の平均利回りを超える数値をひとつの目安にして、目標値を設定することをおすすめします。
もちろん、投資目的によって、目標値を平均より上に設定してもよいですし、下に設定しても大丈夫です。
ただ、投資は「ハイリスク・ハイリターン」が原則です。
平均利回りからあまりにも離れた数値を目標値とすると、元本が溶けてしまう可能性もあるので、注意する必要があります。
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