最近は、テレビのニュースなどで老後の生活資金に関する問題が話題となっています。
個人の貯蓄や投資などの自助努力によって、老後の生活資金を各自で確保しておくよう政府が注意喚起しているなどといった報道もされていました。
投資と聞くと、株式や不動産、外貨預金などがすぐ思い浮かぶかと思いますが、近年注目を集めているのが、「金」への投資です。
金投資にはさまざまな魅力があり、資産運用の一部として一般的になりつつあります。
今回は金投資が注目されている背景をはじめ、金投資の魅力やおすすめの金投資商品についてご紹介いたします。
Contents
金投資が注目されている背景
金への投資が注目されている背景には、将来に対する見通しが不透明なことによる不安が挙げられます。
不安なときに人々が求めるものは安定であり、それは公人でも私人でも変わりありません。
世界情勢の見通しが不透明な近年において、世界各国の中央銀行は、金の保有率を年々増加させている傾向にあります。
また、老後の蓄えに不安を抱く人々においては、少しでもリスクの少ない安定した資産運用先を求めています。
そんな先行きの見通しが立てづらい不安定な時代だからこそ、古代から安定した価値を保ち続けている金への注目が集まっているのです。
現在でもその希少性の高さから、金の価値は国境を越えて、世界中で富や権力の象徴として広く認知されています。
そのような特徴を持つことから、金は「無国籍通貨」や「永遠不滅の資産」とも呼ばれているほどです。
金投資の魅力
近年注目を集めている金投資ですが、人々を引きつける金投資の魅力とは一体何なのでしょうか。
ここでは金投資の魅力について、2つ解説していきます。
価格の安全性
金は「燃えない、錆びない、腐らない」の3拍子が揃った希少金属で、その品質は永遠に変わりません。
品質が変わらないので価値がいきなり大暴落することは考えにくく、安定した価格を維持することができています。
株式や債権などの金融資産と比べてみても、これらは経済状況や企業の業績によって一瞬にして価値が激しく変動します。
その結果、場合によっては価値が一切消え去ってしまうことも少なくありません。
一方で、金は「実物資産」であり、経済状況によってその価値が大きく揺らぐことはないので価格が安定します。
このような価格の安定性が、金への投資の魅力の一つです。
有事や不測の事態に強い
金への投資における魅力の一つとして、「有事や不測の事態に強い」ことが挙げられます。
世界的金融危機などによる不況時や地域紛争、テロ行為などにより地政学的リスクが上昇すると、安定した金への需要が増えて、価格が値上がりする傾向にあります。
また2007〜2008年に発生したサブプライムローン問題やリーマンショックのような不測の事態のあとも金の価格は値上がりしており、現在に至るまで上昇を続けています。
このようなことから、金は有事や不測の事態が発生したときこそ、その強さを存分に発揮するといえます。
目的別!おすすめの金投資商品
金の投資においてその魅力を紹介してきましたが、ここでは具体的に金投資にはどのような商品があるのかを、目的別に5つ解説していきます。
上記で紹介した以外にも、投資商品にはそれぞれの魅力があり、そして注意点もあります。
ご自身の金投資の目的に合った商品を選ぶことが大切です。
1.金地金(きんじがね)
金地金は、延べ棒をはじめとする金の塊を実物資産として購入・保有する商品です。
保有することによる金利や配当はありませんが、固定資産税はかかりません。
そのサイズは1~50g、1kgと比較的自由に選べる取扱会社が多いです。
金地金の価格については会社によりさまざまですが、2019年10月時点では1gあたりおよそ5,500円前後で購入できます。
また、金は世界中のマーケットで取引されていますので、場所を選ばず、公正な価格で換金できます。
ただし、50g未満の金地金の場合は、「バーチャージ」と呼ばれる加工手数料が売買の両方で発生するので、注意が必要です。
また、金そのものを保有するので、少なからず盗難や紛失といったリスクはあります。
安全に保管するためには銀行の貸金庫に預けるなどの対策が必要となりますが、その際にも追加でコストがかかることになります。
こんな目的の人におすすめ!
・実物資産として、金を手元に置いておきたい
・実物資産を所有したいし、税金も節約したい
・世界中のどこにいても換金したい
2.金貨・コイン
金貨も実物資産としては金地金と似ており、比較的少額で手元に金を保有することができます。
金貨のサイズは1オンス、2分の1オンス、4分の1オンス、10分の1オンスの4種類で、1オンスは大体31.1635gです。
2019年10月時点の価格で計算すると、1オンス金貨は約17万円で、10分の1オンスの金貨は約1万7,000円で購入できます。
また、金貨は小分けにして分配しやすいので、遺産相続対策を目的として金貨を購入する人が増えています。
さらに、金地金の売買の際に発生するバーチャージは、金貨ではかかりません。
その代わりに金貨の販売価格には鋳造コストが加算されていますが、買取価格にも同様に加算されますので実質負担にはなりません。
ただし、傷をつけてしまうと買取価格が下がってしまうので注意してください。
こんな目的の人におすすめ!
・少額でも手元に金が欲しい
・遺産配分の際に、小分けして分配できるようにしたい
・金地金が欲しいけど、手数料を少なくしたい
3.純金積立
純金積立は、毎月一定の額の金を購入していき、少しずつ積み立てていく商品です。
一般的に毎月の額は1,000〜3,000円程度の範囲で、自分で自由に決めることができます。
購入の代金は金融機関の口座から引き落とされ、積み立てた金は取扱会社が保管してくれます。
よって、金の購入や管理に手間はかかりません。
また、購入する金は定額分なので、価格が高いときには少なく、安いときには多く買える仕組みとなっています。
そのため、投資のタイミングについて深く悩む必要はありません。
ただし、口座管理料(大体1,000円前後)や購入手数料(月々の購入額の数%)が年間でかかります。
そして毎月の金額が少額すぎると1kgためるのに長期間かかりますので、瞬発的な資産保全に期待できないので注意が必要です。
こんな目的の人におすすめ!
・少ない資金から手軽に金投資を始めたい
・金の購入や管理に手間をかけたくない
・投資のタイミングで悩みたくない
4.金ETF
金ETFは上場投資信託の一種で、1口4,000円〜1万円の少額から投資を始めることができます。
加えて、投資信託を管理・運用する費用と売買手数料の両方がコストとして追加されますが、他の金商品と比較すると低コストなのが特徴です。
そして、金ETFでは株と同じように、証券会社を通じてリアルタイムに値動きを見ながら売買できます。
価格が下がったときは買い増ししたり、価格が上昇したときは一部を売って利益を確定させたりなど、小回りの利く取引が可能です。
証券会社を通じた株取引の売買に慣れている人におすすめできる商品です。
こんな目的の人におすすめ!
・少ない資金から手軽に金投資を始めたい
・投資にかかるコストを安くしたい
・株式のように小回りの利く売買をしたい
5.金先物取引
金先物取引は株やFXと同じように、リアルタイムの値動きを見ながら売買することで発生する差益を狙う商品です。
この商品は証拠金取引なので、元手を担保として元手以上の額の売買を行うことができます。
そのため大きな利益を狙えますが、反対に元手を大きく下回り、追加の証拠金を納めるといったことも考えられます。
また、金先物取引では、「買い注文」だけではなく、「売り注文」をすることが可能です。
よって、金の価格が下落しても利益を生み出せることから、保有している金のリスクヘッジとして購入する方もいます。
保有している金の価格が下がっても、金先物取引の売り注文により損失が抑えられるということです。
ただし、金先物取引は最終取引日が事前に決まっており、それまでに決算するのが基本なので、長く持ち続けることには期待できません。
こんな目的の人におすすめ!
・少ない元手で大きな利益を狙いたい
・株式のように小回りの利く売買をしたい
・保有している金のリスクヘッジをしたい
まとめ
今回は今注目を集める金投資について紹介しました。
株式や不動産などの投資は「攻めの投資」といわれているのに対して、金投資は「守りの投資」と言われています。
「守りの投資」として価値が安定し、リスクに強いという特徴から、資本全体の10〜15%を目安に金投資を資本の一部に追加することがいいとされています。
金投資でどのように資産運用していきたいのかなど目的と照らし合わせて、適切な金投資商品を選ぶことが大切です。
老後の生活に向けてなど将来のための資産運用として、金投資商品の購入を検討してみてはいかがでしょうか。