株式投資で利用するテクニカル分析とは、相場の分析において過去の値動きから将来の値動きを予想する手法のことです。
テクニカル分析には、今後の方向性やトレンドを掴むトレンド系(移動平均線など)と相場の過熱感を掴むオシレーター系があります。
ここでは、オシレーター系の代表選手であり人気も高いRSIについて、その見方・使い方を詳しく解説します。
様々なテクニカル分析の手法を身につけることで、株式投資の初心者にありがちな「何となく」という感覚に頼ったトレードを排除することに役立つため、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
RSIとは
オシレーターとは、「振り子」や「振り幅」という意味で、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」といった相場の過熱感を示すテクニカル分析手法です。
その中で、RSIとは、相対力指数といわれ、直近の一定期間において終値ベースで上昇と下落のどちらが強いか計測しようとする指標です。
RSIの計算方法
RSIの計算方法は以下のとおりです。
RSI(%)=(値上がり幅の合計)÷(値上がり幅の合計+値下がり幅の合計)×100
具体的に、5日間でのシミュレーションをしてみましょう。
前日の終値が100円で、その後5日間の値動きが次の様になったとします。
- 1日目:92円(前日比-8円)
- 2日目:107円(前日比+15)
- 3日目:117円(前日比+10)
- 4日目:127円(前日比+10)
- 5日目:120円(前日比-7)
ここで、値上がりした日と値下がりした日を分けて、それぞれ幅を合計します。
値上がり幅の合計=15(2日目)+10(3日目)+10(4日目)=35
次に値下がり幅を合計します。
値下がり幅の合計=8(1日目)+7(5日目)=15
あくまで幅を計算することからマイナスにはしません。
ここから求められる5日間のRSIは次の通りです。
RSI(%)=35÷(35+15)×100=70%
RSIでは、買い方と売り方が均衡していると50%になります、5日間すべて上昇すると100%、すべて下落すると0%になります。
つまり、上記の例では、70%なので買い方勢力が優勢であるといえます。
今回はわかりやすく5日間で計算しましたが、この期間は自由に設定できます。
この日数のことをRSIのパラメーターといいます。
一般的によく使われるパラメーターは「14日」です。
そして、このRSIが70%を超えると「買われ過ぎ」、また30%を下回ると「売られ過ぎ」の可能性があると一般的には解釈されています。
RSIの見方
RSIはメインチャートの下部に別枠でサブチャートとして表示されます。(0~100%)
ここで、70%、50%、30%のところにラインを引いておくと見やすくなります。
70%を超えたゾーンに入ると相場は過熱気味になり買われ過ぎの可能性を考えます。
逆に30%を下回るゾーンに入ると売られ過ぎの可能性を考えます。
また、50%を境に上であれば買い勢力が優勢、下であれば売り勢力が優勢であると判断することもできます。
トレンド系の移動平均線などでトレンドを把握した上で、このオシレーター系RSIで相場の過熱感を測ることで、より正確な状況把握が可能となり、投資判断にも役に立ちます。
RSIを見る上で注意すること
RSIを用いてテクニカル分析を行う際には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
RSIに適した相場を知る
これまでみてきたRSIは、相場の過熱感を測る際にはとても役に立ちます。
特に、ボックス相場においては、より効果的に力を発揮します。
ボックス相場とは、もみ合いともいわれ、箱の内部に収まったように、決まった範囲内で上昇・下降を繰り返している相場のことです。
ボックス相場では、ある一定の範囲の中で上昇・下降を繰り返すことから、買われ過ぎ・売られ過ぎのサインが出やすくなります。
逆に、上昇トレンドや下降トレンドといった一方的な相場環境においては、注意が必要です。
一方的な上昇トレンドでは、RSIが70%以上のゾーンに張り付くことがあります。
つまり、RSIが70%を超えたから「買われ過ぎ」であると判断し、売却したところ、さらに長期間に渡り上昇し続けることもあります。
逆に30%を下回ったから「売られ過ぎ」であると判断し、買い増ししたところ、さらに下降し続けたというケースも考えられます。
RSIはよく逆張りという、トレンドに逆らった投資方法でも用いられます。
逆張りとは、トレンドに逆らい、相場の上昇局面で売り、下降局面で買うという投資手法です。(対義語は順張り)
しかし、逆張りでRSIを使用する際も注意が必要です。
RSIは、あくまでも投資の過熱度を示しているだけであって、ここが天井とかここが底と教えてくれているわけではありません。
売買シグナルというよりは、注意シグナルと捉えてもいいかもしれません。
つまり、70%を超えてきたので、そろそろ注意して利益確定も視野に入れましょうといったような注意シグナルとして利用することが重要です。
ダイバージェンス(逆行現象)に注意
株価チャートとRSIをみていると、株価は上昇しているにもかかわらず、RSIが下がっているという逆行現象がおこっていることがあります。
これをダイバージェンスといいます。
これは、上昇トレンドは続いているが、その勢いは徐々に弱まっているというサインです。
下降トレンドでも同じことがいえます。
つまり、そろそろトレンドの転換期が近い可能性がありますという注意シグナルになります。
上昇トレンドが終わりに近づき、流れが変わる可能性があると予測される場合には、そろそろ売却し利益を確定させるというような判断材料にもなります。
RSIは他の指標と併用して活用する
RSIは単独で使用するというよりは、他の分析法と併用し、補助的に活用するという方が多いようです。
RSIを単独で使用すると、特に強いトレンドが形成されたときには、信頼度の低い売買シグナルが発せられる場合もあるからです。
つまり、トレンドを見極めるのは移動平均線などで行い、その過熱度やトレンドの転換期を探るのにRSIを用いるとった手法です。
他のテクニカル指標と組み合わせることで、相互の弱点を補い、精度の高い分析が可能となります。
まとめ
ここでは、オシレーター系テクニカル分析の中でRSI(相対力指数)について、詳しく説明しました。
RSIは、70%以上で「買われ過ぎ」、30%以下で「売られ過ぎ」といったシンプルで非常にわかりやすい指標であることから、初級・中級者にも大変人気のある分析手法です。
ただし、指標を過信しすぎて70%以上で即売るとか、30%以下で即買うといったような短絡的な行動をとると、思わぬ損害を被る可能性があることは先に述べたとおりです。
あくまでも、そろそろ過熱気味なので利益確定の時期かもしれないとか、そろそろトレンドが変わる可能性があるなといったような注意シグナルとして活用することが大切になります。
RSIの特徴をよく理解し、さらに他のテクニカル分析と併用することで、より精度の高い投資判断が可能となります。
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