銀行と聞くとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
多くの人は、銀行についてお金を預けるところというイメージを持っていますが、銀行にはその国の経済を支えるという大きな役割があります。
さまざまな形で投資を行いたいと考えている方にとっても、銀行の仕組みを詳しく知っておくことは有益なことだと言えるでしょう。
そこで今回は、銀行の役割についてわかりやすく紹介します。
さらに銀行と景気の関係性についてもまとめました。
投資を行うにあたって、銀行や経済の仕組みについて詳しく知りたい人は必読です。
Contents
銀行の仕組みを知る上で大切な、「銀行の役割」を把握する
銀行には大きくわけて3つの役割があります。
為替業務
為替業務とは、送金や振込み、代金取引や口座振替などの業務のことです。
一例として、水道や電気、ガスなどの公共料金を支払うときに利用する口座振替などがあります。
預金業務
預金業務とは、法人や個人からお金を集めて管理する業務のことです。
預金口座を通して、お金を引き出したりお金を預けたりできます。
顧客から資金を集めることで、ほかの人にお金の貸し出すことができるのです。
融資業務
融資業務とは、資金を必要とする法人や個人に対して、銀行が預かったお金を融資する業務のことです。
企業が事業を拡大するために資金を必要とするときや、個人が家や車を購入するために資金を必要とするなどのケースがあります。
銀行は利息と利子の差額で儲けている
個人や法人が銀行にお金を預けることのメリットは、利子がつくことです。
しかし、銀行にお金を預けると利子がつくのはなぜでしょうか。
銀行は、法人や個人から集めたお金を企業やほかの人への貸付に使用します。
お金を借りた人は、期限までに利息分をつけて返済するのです。
その後、銀行はお金を貸した人にお礼として利子を支払います。
つまり、お金を貸したときに受け取る利息から、お金を借りたときに支払う利子を引いた残りの金額が銀行の利益になるのです。
現在、日本では低金利が続いています。
大きな理由のひとつは、慢性的にお金の需要が不足しているからです。
銀行からお金を借りる人が少なくなると、預金者へ支払う利子は減ります。
黒字主体から赤字主体へとお金は流れる
銀行が利益を得るためには、お金の余っているところから資金を集め、お金の足りないところへ資金を貸し出すことが必要です。
一般的に、お金の余っているところは「黒字主体」、お金の足りないところは「赤字主体」といいます。
社会におけるおもな黒字主体と赤字主体は以下のとおりです。
黒字主体とは?
おもな黒字主体として個人や個人事業主があります。
家や車を購入することで預金残高がマイナスになる場合もありますが、国民全体では必ず黒字です。
そのため、個人については常に黒字主体といえます。
赤字主体とは?
おもな赤字主体として政府機関や一般企業があります。
政府は、人々の生活を豊かなものにする義務があるので、公共サービスなどを拡充していかなければなりません。
一般企業についても、ほかのライバル企業に勝つために、新しい技術やシステムを開発しなければならず、そのためには多額の資金が必要です。
国単位で見ると、銀行は個人からお金を集め、集めたお金を政府や一般企業などに貸しています。
余っているお金を上手に活用することで、生産性が向上して生活は豊かになるといえるでしょう。
黒字主体から赤字主体へ流すための融資方法
黒字主体から赤字主体に資金を流用させる方法として「直接金融」と「間接金融」があります。
2つの違いは以下のとおりです。
株や国債などの直接金融
直接金融とは、資金を必要とする相手に直接出資する方法のことです。
おもな直接金融として「株」や「債券」があります。
例えば、企業が新たな技術を開発するために大きなプロジェクトを立てます。
その際には、多額の資金が必要ですが、企業は株や債券を発行して資金を集めるのです。
出資を募る人が、国や地方公共団体の場合には、「国債」として資金を集めます。
預金や投資信託などの間接金融
間接金融とは、資金を必要とする相手に間接的に出資する方法のことを指しています。
銀行は、預金者からお金を集めてから貸し出しを行っているので間接金融です。
また銀行では、通常の預金に加えて「定期預金」や「投資信託」などのサービスも提供しています。
定期預金は、通常の銀行預金とは異なり、一定期間お金を引き出すことができません。
その代わりとして、通常の銀行預金よりも利子が高くつきます。
投資信託とは、販売会社が多くの投資家から資金を集め、集めた資金を販売会社に所属する資産運用のプロが、債券や株などの金融商品を購入して運営することです。
資産運用によって得た利益は、投資家に分配されます。
おもな販売会社は、銀行や郵便局、証券会社などです。
銀行にお金を貸すと、世の中のお金が増える
銀行と景気には重要な関係があるのをご存じでしょうか。
銀行に多額のお金を貸すと、世の中に流通するお金は減るだろうと考えられます。
しかし実際には、銀行がお金を貸すと世の中のお金は増えていくのです。
お金が増える仕組みのことを「信用構造」といいます。
信用構造とは?
まずA銀行が、新しい事業を始めるA企業に1億円を融資します。
A企業はA銀行から融資してもらった資金をB銀行に預けました。
次にB銀行は、預かった1億円のうち99%にあたる9,900万円を使って、別の事業を始めるB企業に融資します。
B企業はB銀行から融資してもらった資金をC銀行に預けました。
さらにC銀行は、預かった9,900万円のうち99%にあたる9,801万円を使って、別の事業を始めるC企業に融資します。
最初は1億円だったお金ですが、銀行に預けることによって1億9,700万円増えました。
このように、銀行にお金を預けると、銀行はほかの個人や企業に融資をするので、元手以上のお金が世の中に流用することになるのです。
そのため、信用創造を上手に利用すると、世の中の経済の動きが活発になり、景気が上昇します。
信用創造はリスクが伴う
ただし、信用創造については大きなリスクも伴うので注意が必要です。
信用創造の仕組みを利用すると、世の中の経済は活発に動きます。
しかし、赤字主体に貸し出された資金は、必ず返済しなければなりません。
1億円から1億9,900万円に増えたお金についても、最終的には返済の必要が発生します。
そのため、信用創造を利用すれば消費が活発になり経済は動きますが、消費が進みすぎるとバブルを引き起こすことになるので注意が必要です。
バブルが崩壊すると、企業の倒産を引き起こし資金が回収できなくなるので景気の大幅な悪化を招きます。
そのため、銀行はバブルにならないように貸し出すお金をコントロールしているのです。
おもな方法として、お金を貸し出すときの利子を上げることで融資を減らし、世の中に必要以上のお金が出回らないようにします。
そのため、銀行と景気は重要な関係があるといえます。
まとめ
今回は、銀行の仕組みについてまとめました。
銀行のおもな業務は、「為替業務」、「預金業務」、「融資業務」の3つです。
銀行は法人や個人などの「黒字主体」から集めた資金を一般企業や国などの「赤字主体」に貸し出すことで利益を得ています。
通常の預金に加えて、「定期預金」や「投資信託」などの魅力的な商品を提供することでたくさんの資金を集めることが可能です。
銀行は景気と関係があります。
銀行にお金が集まると世の中に出回るお金が増えるようになり、結果として景気を上向きにすることが可能です。
ただし、必要以上のお金が出回るとバブルのリスクも高くなるため、銀行は利子を上手に使って景気をコントロールしています。