近年、ETFという新しい投資分野が注目されています。
しかしこれから投資を始める初心者は、ETFと聞いても何かわからない場合が多いでしょう。
ETFは投資信託の一種で、基礎知識を身につければ初心者でも投資できます。
本記事ではETFの仕組みや本来の投資信託との違いを述べたうえで、購入するメリットやデメリットなどを解説します。
これを読んでETFの全体像をつかんでおきましょう。
Contents
ETFの基本的な定義は?
ETFとは、Exchange Traded Fundsの略で、上場投資信託という意味です。
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、債権など、ほかの投資分野や価格指数などの動きに合わせて独自の価格変動を見せる金融商品です。
1990年にカナダで上場したのが世界初といわれ、現在では目覚ましい発展とともにさまざまなパターンのETFが世界中に上場しています。
ETFの種類は?
ETFには国内と海外それぞれに在籍するものに分かれています。
国内ETFでも海外に投資するパターンもあれば、海外ETFの投資対象が国内になっていることもあります。
国内ETFは日本の証券取引所で売買できます。
海外ETFのいくつかも国内の証券取引所に上場していますが、大部分は海外でしか見られません。
ETFの価格連動対象は、主に日経平均株価や東証株価指数をはじめとした、従来の株式の値動きに合わせたものが多い時もありました。
しかし現在は、不動産投資信託の「REIT」や純金などの別の金融商品の値動きに連動するケースも増えてきています。
ETFはほかの金融商品と何が違う?
ETFは証券取引所で購入できる投資信託の一種ですが、従来の株や投資信託とは趣旨が違います。
株との違い
ETFは投資信託の一種であるため、証券取引所で買ってもそのお金は投資信託会社に託されます。
運用結果がプラスであれば、その利益が分配金となり、投資者に支払われます。
通常の株式なら、投資先の会社が利益を上げると、会社から株主に「配当金」が支払われます。
配当金を決めるのは会社であり、1株いくらという形で、株の保有量に応じて固定します。
株式会社が増配を決めるなどで利益増大がうかがわれると、買い注文が増えて株価が上昇する場合があります。
ETFで支払われるのは「分配金」であり、単純に投資信託会社が上げた利益から投資者が払った口数に応じて支払額を配分します。
そのため株式会社のような増配の概念はありません。
むしろ分配により資産価値の一部が犠牲になり、投資信託の価値が下がります。
投資信託との違い
ETFと従来の投資信託の違いは、上場しているかしていないかです。
本来の投資信託はひとつの会社として運営されているだけで、株式上場などの必要性がありません。
そのため、郵便局や銀行で投資信託事業が行われるケースもあります。
ファンドマネージャーが独自に投資を行い、その結果がプラスなら利益が出ます。
ETFは証券取引所を通しての売買がほとんどです。
投資信託事業であるにも関わらず、指値注文という投資者自身が指定した価格での注文も可能です。
こちらは日経平均株価など、特定の金融商品の価格や指数通りに動くように資産運用されます。
ETFの仕組みは?
ETFの価格の決まり方などの仕組みを詳細に解説します。
市場価格と基準価格の2通りがある
ETFには基準価格と市場価格の2通りがあります。
基準価格は発行市場で、市場価格は流通市場で決まります。
基準価格はETFの発行市場で決まる価格です。
ETFを運用する会社と、特定の参加者の間においてETFで利益をもらう権利を意味する「受益権」の売買が行われます。
売買には資金もしくは株式が用いられます。
ここでの参加者が取引する証券会社は、一般人が利用するそれとは違う特別な場所です。
特定の参加者は、ETFの受益権を一般の証券会社という流通市場に出します。
それがETFという金融商品として、ほかの企業株と一緒に流通し、発行市場とは別の価格が決まります。
一般のユーザーは株と同じ感覚でETFを買いますが、それは発行市場の参加者が流通させたETFの受益権です。
需要と供給の関係で価格が異なる
ETFには需要と供給の関係で、発行済みの受益権の口数が上下する結果、基準価格と市場価格のズレが発生します。
価格のズレが大きすぎると、ETFの発行市場の参加者が価格調整行動に出ます。
ETFの売れ行きがアップすると需要が高いことを意味し、市場価格が基準価格に対して高くなります。
このとき発行市場の指定参加者は、別の株を調達してETFの設定申し込みを行い、口数を増やして売却し、ETFが株より高くなりすぎないように調整します。
売れ行きが悪いとETFの市場価格は基準価格の割に安くなります。
このとき指定参加者がETFを買い付け、中の株式を取り出す作業を行い、口数を減少させ取り出した株は売却処分します。
これにより、ETFの価格が株式と比べて下がりすぎないように調整するのです。
ETFのメリット4つ
ETFの主たるメリットは5つあります。
少額から分散投資ができる
ETFは信託先が正式な投資対象を決めるのですが、1つのETFで複数の銘柄が指定されているため、1株買うだけでも分散投資が成立します。
ただし、500円以下のものを1株だけという風に投資額があまりにも少ないと、ETF特有の手数料がかさんだ結果、利益を得られない可能性もあるので注意が必要です。
値動きがわかりやすい
ETFは基準価格と市場価格の2通りがあるため、複雑すぎると感じる人もいるようですが、値動き自体は特定の金融商品の指数に合わせているため分かりやすくなっています。
株式市場全体の流れを見るだけでも、ETFの値動きを大体把握できるぐらいです。
一般の投資信託より手数料が安い
一般の投資信託よりも「信託報酬」という手数料が安いのもETFの魅力です。
手数料がかかることに変わりはないため事前のチェックは必要ですが、それでも通常の投資信託にお金を託すよりはお得感があります。
選択肢が多い
ETFは商品により、連動する指数や株価などが異なります。
従来は株価指数と連動しますが、なかには日本のETF商品なのに外国の株価指数と連動するなどの面白い仕組みもあります。
ほかにも国内外の債券や不動産投資信託のREIT、株や投資信託以外の投資分野など、ETFのあり方が多様化しています。
自身のニーズに合わせて理想に近い選択をしやすいのがポイントです。
ETFのデメリット3つ
ETFには注意すべき3つのデメリットもありますので注意しましょう。
価格バランスに注意
ETFには一般の証券取引所による市場価格と、直接の投資信託に関わる取引を行う発行市場での基準価格の2通りがあります。
市場の需要と供給、発行市場での参加者の思惑など様々な要素が絡みあい、2通りの価格が離れすぎてしまうことがあります。
価格バランスの変化で、市場価格で取引をする人が基準価格よりも得に取引できることもあれば、損になる取引を強いられるケースもあります。
分配金の自動再投資不可
ETFでは、分配金の再活用面で不便を強いられることが多いです。
ETFが成功すると、投資者は信託先の利益から分配金をもらえます。
一般の投資信託なら分配金を自動で再投資できるよう設定できる場合が多いです。
ただし株式市場に上場している性質上、ETFには自動再投資の仕組みがなく、分配金を自力で動かさなければなりません。
自動積立投資もできない
ETFでは積立投資も自力で行わなければなりません。
株式市場に上場している関係上、自動設定のような柔軟なやり方ができないからです。
積立投資をする場合は、決まった時期に自身が証券取引所にアクセスし、投資手続きを行う必要があります。
ただし証券会社によっては、株式累積投資として一定時期に同じ金額で同じ金融商品を買い続けられるサービスがあり、これを利用してETFを積立投資できることも考えられます。
まとめ
ETFは株式市場で買える投資信託の一種です。
商品により信託会社が選ぶ銘柄も多様化しているので、自身に合ったタイプを選ぶと良いでしょう。
発行市場で信託会社と直接取引するか、流通市場となっている証券取引所でETFの受益権を購入するかで価格が異なりますので、2通りの価格をチェックしながら臨みましょう。
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