金は存在そのものが価値があるとされていて、他の資産価格が暴落したとしても、金が価値が極端に減ることはありません。それゆえに安全資産として世界中で取引されています。
では、なぜ金投資が注目を集めているのでしょうか?
まず資産には通貨や株式・債券など発行する国や企業の信用をベースに取引される「ペーパー資産」に対し、金や不動産のように、そのものに価値がある資産を「実物資産」と言います。
ペーパー資産の値動きは発行体の情勢変化に敏感で、信用がなくなれば価値が暴落することもありますし、価値がゼロになることになる可能性があります。
しかし実物資産は実物がそこにあることから、完全に無価値になることはありません。
金投資のメリットとしてはこの信用リスクがないということでしょう。
金はペーパー資産の価値が暴落するような局面で値を上げやすいのが特徴です。
一方、デメリットとしては、ペーパー資産とは異なり、金は利息や配当を生むことがありません。
そのため所有しているだけでは資産を大きく増やすことができないのがデメリットです。
しかし、リスクを取ってリターンを狙える「攻めの資産」が目減りするような状況下ではそれをカバーしてくれる「守りの資産」として金があると言えるでしょう。
Contents
インフレ対策としての金投資
1970年代のオイルショックによる原油価格上昇は、金価格に大きな影響を与えた出来事のひとつです。
オイルショックがもたらした世界的なインフレは金の買いを促進し、金価格を押し上げました。
このため「金はインフレヘッジになる」との定説が生まれ「原油価格と金価格は比例する」と見られるようになったのです。
これは投資家の間にいまだ根強く残っています。
しかし、原油価格が急落した2008年後半以降も、金価格は高値で推移していました。
これは各国の景気刺激策によりインフレが引き起こされることへの懸念が投資家の間にあったためとも言われインフレヘッジの方法として金投資が注目されています。
需給動向について
それでは金の市況について簡単に知っておきましょう。
金の供給量は中国など一部の国で生産増が続いてきましたが、全体では横ばい、または減少傾向にあります。
かつて世界最大の産金国であった南アフリカは、金埋蔵量の減少に伴う採掘条件の悪化やコストアップ、
鉱山ストなどを要因として生産量を減らし、2007年以降は中国が産金国第一位となっています。
一方、需要は近年まで増加傾向にあり、宝飾品需要が約半数を占め、投資用の需要がそれに続きます。
なかでも中国やインドをはじめとする新興国の需要拡大が顕著です。
これは宝飾品需要に限らず、金の公的需要が増えた結果であり、新興国を中心に外貨準備高の分散を目的とした中央銀行の金保有が積極的に行われています。
また、金ETF(上場投資信託)が、オーストラリア証券取引所で初めて上場され、その後各国へと広がり、ニューヨークでの上場で一気に残高を増やしました。
これによる金の買い付けが、金価格の上昇に一定の役割を果たすことになりました。
金ETFで特徴的なのは、中長期的な運用を目的とした年金基金の機関投資家などが買い手の中心と考えられる点です。
このように購入された金は一般的に退蔵され、今後も金価格を下支えすると見られています。
金価格はアメリカを中心にヨーロッパなど世界市場に影響力をもつ国々の政治や経済状況に左右されますが、米ドルや株価が下落した時には安定資産としての力を発揮し、値上がりする傾向があります。
リスクオフ局面では金が買われて値上がり傾向
ドル建て金価格の変動は、需要と供給の関係が基本的な要因ですが、世界のさまざまな政治や経済状況にも影響を受けます。
一般的にアメリカの景気が良い時には金が売られてドルが買われます。
これはアメリカの景気がいい=株や債券のリターンが好調であれば金は不要という考えからです。
一方で、不況時や紛争、テロなどで地政学的リスクが高まった時に、リスクの高い株式や金融商品が売られて市中にドルが増え、ドルから金へと資金が流れてドル建て金価格が値上がりする傾向があります。
金とドルの間には、一般的にこのような逆相関関係があり、この関係は現在も特に短期的な値動きによく見られます
投資信託とは
ここで「投資信託」について説明します。「投資信託」とは、「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品」です。
この運用成果は投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっています。
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。
投資信託の購入後に、投資信託の運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って、損をすることもあります。
このように、投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべて投資家に帰属します。
つまり、投資信託は元本が保証されているものではありません。
この点は銀行の預金などとは違うところですので注意が必要です。
「金の投資信託」とは
金投資の方法は、金現物を購入するだけではなく、金の投資信託を購入する方法があります。
投資信託には公募の投資信託とETF(上場投資信託)があり、どちらも金の価格に連動しているので同様の投資効果を発揮します。
金に連動する公募投資信託で投資する場合は証券会社や銀行などで連動する投資信託を購入することができます。
金の現物ではないので盗難リスクはないですが、あくまでペーパー資産となりますので信用リスクとしては存在することになりますので、注意が必要です。
また金に連動するように作られていますが現物に交換はできません。
また現物と違って店舗に行けばいつでも買えるものでもなく、1日1回の締め切りでしか申し込みできません。
金ETF(上場投資信託)は運用の成果が金価格の動きに連動するように設定された投資信託で、証券会社などが窓口になって取り扱われています。
取引所に上場しているため株式のように売買することができます。公募の投資信託同様に盗難のリスクもありません。公募の投資信託と違い金の現物に交換できる金ETFもあります。
投資信託で買うメリット・デメリット
金の現物を買うことと金の投資信託を買うことの違いは何でしょうか。
まずは購入時の手数料が違います。金の現物では1~3%が購入手数料としてかかるところが多いでしょう。
一方ETFの場合は株式と同じなので対面証券の手数料だとしても1%程度、ネット証券であればもっと安い手数料で購入できます。
また公募投資信託であれば、買付手数料無料のファンドも存在しますので、購入時の手数料は安いことがメリットです。
また、公募の投資信託の場合はネット証券であれば100円から1円単位で投資が可能であり、気軽に投資を始めることができるということがメリットのひとつでしょう。
もちろんデメリットもあります。
金の現物は保管に手数料はかからないことが一般的ですが、投資信託の形をとっていると、信託報酬が日々計算されていくことになりますので、その分、金の価格から費用が引かれていくこととなります。
まとめ
金投資について、また金の投資信託についてご理解いただけたと思います。
投資信託をしようすると非常に投資しやすくなりますので、金投資に興味はあるけども今一歩踏み出せないという方におススメですのでぜひ投資してみましょう。