2018年「働き方改革」により、サラリーマンを辞めて個人事業主へ転向する方が増えています。
個人事業主になったときに頭を悩ますのが、確定申告手続きではないでしょうか?
個人事業主にオススメの確定申告は「青色申告」と言われています。
今回は、青色申告のやり方と基本の節税対策を2つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
個人事業主の確定申告の方法は2つ
まずは、個人事業主が行う確定申告の2つの方法から見ていきましょう。
1.青色申告
個人事業主が行う確定申告の方法として、もっとも節税効果が高いと言われているのが青色申告です。
青色申告 のメリット
青色申告では、10万円または65万円の「特別控除」が設けられています。
そのため、所得金額の合計を減らすことができ、納めるべき所得税の額を小さくすることが可能です。
また、青色申告で事業を行う事業者は「屋号」を登録できます。
事業を行っていく上で、社会的信用度が増すというメリットがあります。
青色申告 デメリット
最大65万円の特別控除と屋号を登録できるといったメリットのある青色申告ですが、複式簿記による帳簿の提出が義務付けられています。
そのため、経理の知識がない個人事業主にとっては、複雑な帳簿付けがかなり負担となっているようです。
また、青色申告で確定申告を行いたい場合は、事前に管轄の税務署への届け出が義務付けられています。
届け出を行っていない事業者は、白色申告しかできないのでご注意ください。
2.白色申告
白色申告は、すべての個人事業主が行うことのできる確定申告の方法です。
以下に白色申告のメリットとデメリットを挙げますので、青色申告と比較してみましょう。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは、なんといっても会計処理が簡単ということです。
簡易帳簿の提出でOKですので、お小遣い帳のような簡単な入出金記録のみで、確定申告手続きを行えます。
また、事前登録などの手続きが不要なので、時間のない事業者や経理にそれほど時間をかけられない個人事業主にとってはメリットが大きいといえます。
白色申告のデメリット
一方、白色申告では青色申告のような「特別控除」がないため、節税効果は低いといえます。
また、簡易帳簿ですので、必要経費の部分についても税務署から改められることが多く、経費の計上で損をするケースもあるようです。
個人事業主が青色申告するために必要な手続き
青色申告は、白色申告より帳簿付けが難しいというデメリットがありましたが、節税効果を考えると、できれば青色申告で確定申告する方がよいと考えます。
この項目では個人事業主が青色申告をするために必要な手続きを紹介します。
①管轄の税務署への各種届け出
個人事業主として青色申告をしたい場合は、事前に管轄の税務署に「開業届」(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出することが義務付けられています。
「開業届」は、事業開始日から1ヶ月以内に税務署に提出する決まりになっており、必要事項を記入して税務署に提出します。
開業届は任意で提出するものですので、青色申告しない場合は、提出しなくても大丈夫です。
②複式簿記による帳簿付け
開業届を提出したら、日々の帳簿付けを行います。
入金、出金をそれぞれ「貸方」「借り方」に分けて、経費は「勘定科目」に分類して記録していきます。
複式簿記による帳簿付けのやり方がわからない場合は、オンラインの会計ソフトを利用するのもオススメです。
個人事業主が納めるべき税金は4つ
個人事業主になったら、確定申告で納めるべき税金は4つあります。
以下に税金の種類と算出方法などをまとめましたので、参考にしてください。
所得税
所得税は、その名のとおり「所得金額」に対して徴収される税金のことです。
所得税は個人事業主が国に対して納める税金です。
A. 所得=売上ー経費ー各種控除(社会保険控除など)
B. 所得税=所得 x 税率%
上記のように計算して求めます。
A.の数式を見てわかるとおり、所得を下げるためには「経費」と「控除」をできる限り多く差し引くということがポイントです。
B.の数式にある「税率」は、所得が大きくなればなるほど、税金も増える「累進課税方式」を採択しています。
住民税
所得税が国に納める税金なのに対し、住民税は住んでいる地域(市町村)に対して納める税金です。
住民税は住んでいる地域によって税率が異なるため、税率が低い都市に住めば、その分納税額も減るという仕組みです。
住民税=所得割額+均等割額
上記のように計算して求めます。
所得割は、所得の多さに応じて納付額が決まります。
均等割は、同じ自治体に住む納税者が同額を納税する決まりです。
つまり、住民税についても納付額をできるだけ下げて節税したいのであれば、所得金額をできるだけ減らすということが重要です。
消費税【一部の事業者のみ】
消費税は、商品を販売したときに、消費者から徴収する税金のことです。
令和元年10月から10%に引き上げされたばかりです。
消費税は「基準期間」が決められており、課税期間の前々年がこれにあたります。
納税する年から2年前に課税売上高が1,000万円超えている事業者は課税対象です。
1,000万円以下の場合は納付する必要はありません。
事業税【一部の事業者のみ】
事業税は、法律で定められた業種のみに課税される税金の一種で、所得の額が290万円以下の場合は、課税対象ではありません。
個人事業主ができる青色申告の2つの節税対策
最後に青色申告で節税するための2つの方法を解説します。
①経費をきちんと計上する
前述のとおり、青色申告では経費に含まれるものをすべて洗い出すことが重要です。
経費にできるものとそうでないものがあるので、きちんと仕分けして計上しましょう。
経費に含まれるもの
・文具類
・オフィスの家賃や光熱費
・新聞・書籍などの資料
・交通費
・インターネット、通信費など
・消耗品費
自宅を職場にしている場合は仕事に利用している面積を割り出し「家事按分」として計上することが可能です。
経費に含まれないもの
個人的な支出・飲食代などの曖昧な交際費は、経費として認められない可能性が高いです。
②控除対象となる保険商品への加入
社会保険料は、青色申告の「各種控除」の対象です。
対象となる保険項目は14種類ありますが、ここでは主なものを3つ挙げてみます。
年金: 国民年金基金・確定拠出型年金
国民年金基金や確定拠出型年金の保険料は、社会保険控除として全額所得から差し引くことが認められています。
事業保険:小規模企業共済・経営セーフティ共済
個人事業主で「 小規模企業共済」や「経営セーフティ共済」に加入している場合は、掛金が全額社会保険控除の対象です。
寄付金:ふるさと納税
ふるさと納税は、住民税の20%までという上限がありますが、こちらも社会保険控除の対象となっており、所得から差し引くことが可能です。
まとめ:個人事業主は青色申告で確定申告し、節税に努めよう!
個人事業主が知っておきたい青色申告の方法と節税対策を紹介しました。
青色申告は最大65万円の控除が受けられる大変魅力的な申告方法です。
複式簿記による帳簿付けも、最近はクラウド会計ソフトなどの導入によりずいぶん簡単になりました。
経費や各種控除をきちんと計上すれば、節税効果はさらに高まります。
個人事業主は、青色申告で節税に努めましょう!