投資信託に興味があるけど、本当に儲かるかわからないので、購入に踏み切れない方が多いでしょう。
投資信託に限らず、投資する場合は常に付きまとう問題ですね。
そこで今回は、投資信託の実情から運用実績、利回り、儲かっている人が抑えているポイントと割合をご紹介いたします。
Contents
投資信託は実は儲からない?
巷では投資信託は儲かる、いや儲からないといった意見が散見されておりますが、実際のところ、投資信託の実情はどうなのでしょうか。
投資信託の問題点を確認しましょう。
過去10年の販売手数料、信託報酬、収益率
以下の資料を確認すると、日本の場合、純資産の規模は米国よりかなり小さいですが、販売手数料、信託報酬は2倍以上です。
それなのにもかかわらず、収益率が 0.11%なので、販売手数料や信託報酬を差し引いたらマイナスになるのがわかります。
※参照 8ページ 規模の大きい投資信託の日米比較(純資産額上位5商品)
金融庁 投資信託 説明資料 平成29年3月30日
https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170330/03.pdf
平均リターン
信託報酬が高くなればなるほど、平均リターンが少ないことがわかります。
つまり儲けているのは投資信託を運用している会社だけで、投資家は長期で持てば持つほど、損をするという構図です。
※参照 8ページ 国内株式アクティブ運用投信の信託報酬とリターン
金融庁 投資信託 説明資料 平成29年3月30日
https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170330/03.pdf
投資信託を購入するには見極めが必要
これまで投資信託について、ネガティブなデータを紹介いたしましたが、これは購入するにあたり、非常に重要なデータなのです。
上記2つのデータから確認できるように、証券会社や銀行が勧めてくる売れ筋の投資信託が、質の高い商品というわけではないという事がわかったはずです。
投資信託は、手数料ビジネスと揶揄されるほど、販売している会社にとっては手数料をどれだけ取れるかが重要な金融商品です。
販売している会社が手数料の高い投資信託を勧めるのは当然です。
したがって、投資信託は投資家が選択する投資信託の種類によって儲かる、儲からないが変わりますので、儲からないわけではありません。
投資信託の運用実績
投資信託の1年、3年、5年、10年のリターンをそれぞれ見てみましょう。
・リターン(1年)
・リターン(3年)
・リターン(5年)
・リターン(10年)
年数を重ねると銘柄もガラッと変わります。
1か月スパンで見るとものすごく上がっているファンドでも、1年、3年、5年、10年とスパンが長くなると、最初にリターン率が高かった商品がなくなっていることがわかります。
投資信託はデイトレードのように短いスパンで売買することを想定して作られていません。
前述したように、投資信託は手数料ビジネスですから中長期で長く持ってもらうよう作られています。
短期間の運用成績や直近の動きだけで購入や売買を判断せず、中長期視点で考え、どのあたりで値上がりしたのかを見極めて購入、売買を検討することがベストです。
※参考 モーニングスター ファンドランキング [データ日付] 2019/09/30
http://www.morningstar.co.jp/FundData/FundRankingReturn.do
投資信託の利回りを考える
投資してどのぐらい儲けが出たのかを利回りというのですが、投資信託における利回りとは何を指すのか、わからない人が多いでしょう。
ここからは投資信託の利回りを考えます。
正確な利回りはトータルリターンで見る
投資信託の利回りは、トータルリターンで見ることをおすすめします。
投資信託の利回りというと、騰落率や分配金利回りと思われがちですが、厳密に言うと違います。
騰落率は基準となる価格しか考慮しておらず、分配金が含まれていません。
また、分配金利回りは逆に基準となる価格が考慮されていないため、正確な利回りとは言えません。
トータルリターンは、基準となる価格と分配金の両方を含めて手数料を利益から差し引いて算出される数値ですので、投資した金額に対する儲けを正確に把握することができます。
トータルリターンについては、証券会社と投資信託評価会社で算出する方法に微妙に違いがありますが、以下の3つを基準としているかで見極めましょう。
・基準となる価格と分配金を含めて算出している
・手数料を利益から差し引いて算出している
・分配金を再投資が前提で算出している
投資信託で儲かる人が抑えているポイント
基本的なことではありますが、この基本を押さえていないので、損をしている方が多く見受けられます。
資金を把握する
自己資金の何パーセントを投資に充てるのかを決めることです。
元本が保証されていませんので、投資した金額を失う可能性も当然あります。
そのため、失っても生活に影響を及ぼすことがない資金で投資することが望ましいです。
計画的に投資する
投資する場合、誰もが投資した額より増やしたい、儲けたいと思います。
儲ける場合も損をする場合も同じなのですが、ある一定の金額まで達したら売る、買い増しするという基準を作らないと、際限なく自己資金を投下するようになります。
これではパチンコや競馬、その他のギャンブルと同じです。
投資はギャンブルではありませんので、売買ルールを決めて、決めたルールはどのような場合でも、たとえ、売った後さらに値上がりしたとしても必ず守りましょう。
また投資の場合、中長期的な運用を計画すると大きなリターンとはいきませんが、マイナスにはならず、プラスのリターンとなる傾向があります。
中長期での投資を前提としている投資信託はおすすめの金融商品と言えるでしょう。
投資信託で儲かっている人の割合
以下、参考資料、2ページ [2.共通KPI-(1)運用損益別顧客比率①] によると、投資信託を購入した人で儲かった人は全226社中65%で、前年比の11%増。残りの約35%は儲かっていない人になります。
また、投資信託を取り扱っている業態というより、会社単位で儲かっている人と儲かっていない人の割合に差があります。
以下、参考資料 5ページ~7ページ [【参考】共通KPI-(1)運用損益別顧客比率(投資信託-①)] [【【参考】 共通KPI-運用損益別顧客比率(投資信託-②] [【参考】 共通KPI-運用損益別顧客比率(投資信託③・ファンドラップ] を確認すると、以下の傾向があります。
・主要銀行・地域銀行
山口銀行が83%でトップ、最下位が36%のあおぞら銀行
・協同金融
館林信用金庫が96%でトップ、最下位が40%の飯能信用金庫
・対面証券
大万証券が79%でトップ、最下位が22%の池田泉州TT証券
・その他事業者
セゾン投信が98%でトップ、最下位が46%のアイ・コーポレーション
上記の結果を見る限り、どの投資信託を購入するかの選別も重要ですが、どの会社で投資信託を購入するかも、儲けを出すためには非常に重要な要素であることがわかります。
※参考 金融庁 販売における比較可能な共通KPIの公表状況 令和元年8月9日
https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20190809_fd/002.pdf
まとめ
今回は投資信託の実情から運用実績、利回り、儲かっている人が抑えているポイントと割合をご紹介しました。
金融庁のデータ上では儲けが出ている人が 65% でしたが、投資信託は元本保証していない金融商品であるという事を忘れてはいけません。
35%は損をしているのです。
これは100%断言できるのですが、儲けている人がいる一方で必ず損をしている人がいるのが投資です。
平等はありません。そういったリスクがあるということを念頭に入れ、資産運用するよう心がけましょう。
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