株主優待には各企業の特徴が明確に現れますが、特に旅行好きな方にとって嬉しい株主優待を提供しているのが航空会社です。
日本国内の航空業界をリードする双頭であるJALとANAでは、自社とそれに関連する航空会社で使用できる航空券の割引券を株主優待として提供しています。
どちらかの会社に肩入れをしていないという場合には、JALとANAのどちらを優先して投資すべきなのか、様々な条件を比較しながら考えていきましょう。
割引券の内容からJALとANAを比較
JALの割引券を取得するための条件
JALの株主優待は3月と9月、年に2回に渡って行われ、100株以上を保有していれば50%の航空券割引券が手に入ります。
3月の株主優待では、200株までの保有で1枚、400株までで2枚、600株までで3枚、800株までで4枚、それ以上の保有で5枚の割引券が配布されます。
9月は200~300株で1枚、500株までの保有で2枚、700株までで3枚、900株までで4枚、1,000株以上で5枚となり、100株では優待の対象にならないため注意が必要です。
JALの優待割引は、JALそのものを筆頭に、JALに関連する航空会社の国内線便で50%割引券として使用することが可能になっています。
日本トランスオーシャン航空、日本エアコミューター、琉球エアコミューターの3社が、JALに関連する航空会社です。
ANAの割引券を取得するための条件
ANAの株主優待もJALと同じく3月と9月の2回に渡って行われており、100株以上を保有していれば50%の航空券割引券を手に入れることが可能です。
優待券の枚数は100株で1枚、200株で2枚、300株で3枚、400株以上で4枚、600株以上で5枚、800株以上で6枚、1,000株以上で7枚になります。
ANAの場合は3月と9月で優待の内容が変わらないため、100株のみを保有している株主でも、一年間で2枚分の50%割引券を入手できることがメリットです。
ANAの航空券割引券は、ANA、エアドゥ、IBEXエアラインズ、スターフライヤー、ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジの各社で使用することができます。
JALとANAの優待取得条件を比較
まず、100株の株主に対して9月に株主優待が提供されるのはANAだけであり、200株保有者に対する割引券の発行枚数はJALが1枚、ANAが2枚になります。
400株までの保有に関しても、ANAなら4枚、JALは2枚までとなることから、この株数までであればANAの優待内容はJALのちょうど2倍です。
同じように大量に保有するというケースにおいては、1,000株以上の保有者に対してJALは5枚、ANAは7枚の50%優待券を提供しています。
ここまでの条件だけを見れば、ANAがJALをリードする優待内容を持つことは間違いないでしょう。
使用条件の内容からJALとANAを比較
JALの株主優待を使うための条件
定められた金額を追加で支払うことによって、エコノミークラスからクラスJ、あるいはファーストクラスへとグレードアップさせられます。
株主優待の有効期限は1年間で、3月末に配布される割引券はその年の6月1日~翌年5月31日まで、9月末の優待は12月1日~翌年11月31まで使用可能です。
また、3年以上に渡って株を保有していると、300株以上で1枚、1,000株以上で2枚、10,000株以上で3枚の優待券が追加で提供されています。
ANAの株主優待を使うための条件
ANAの株主優待は、所定の差額をプラスするとプレミアムプラスにアップグレードでき、有効期間内に申請すると便を変更することも可能です。
有効期限は1年間であり、3月末の優待の使用可能期間は同年6月1日~翌年5月31日まで、9月末の優待は12月1日~翌年11月30日まで優待券を使えます。
1,000株以上を保有している場合、保有株数が400株増えるごとに1枚優待券が追加されるので、2,200株を保有している場合は10枚の割引券を入手可能です。
JALとANAの優待利用条件を比較
JALは差額を支払うとファーストクラスにも振り替えてくれますが、ANAのアップグレードはプレミアムクラス限定となるため、若干ランクが落ちます。
しかし優待券の枚数としてはやはりANAのほうが優れており、多くの割引券を求めている方にとってはANAを優先すべきであることには変わりありません。
有効期限は両者ともに権利確定日の翌々月から1年間という条件なので、どちらを選んでも差が付きません。
その他の優待からJALとANAを比較
JALが提供するその他の優待
100株以上なら一年に2枚、200株以上なら一年に4枚、7%のツアー割引券が株主優待としてセットになります。
海外ツアーと国内ツアーの割引券が2枚ずつ提供され、JALのパックツアーをお得なお値段で体験できる株主優待です。
ANAが提供するその他の優待
ANAでは、IHG・ANA・ホテルズグループジャパンで使用できる割引券が提供されています。
ベストフレキシブル料金20%割引券が6枚、朝食10%割引券が5枚、婚礼飲食10%割引券が1枚、会議・宴会15%割引券2枚が付帯します。
さらに、ANAの国内ツアー、海外ツアー、国内・海外ツアー、大人ゆとり旅の7%割引券が2枚ずつ提供されることも特徴的です。
また、全国の空港にあるANA FESTAやANA DUTY FREE SHOPで使える10%割引券が5枚セットになる、非常にお得な優待内容になっています。
その他の優待内容でJALとANAを比較
JALが導入している優待と同ランクの優待はANAでも提供されており、ここまでは互角の戦いを見せています。
しかしANAにはそれ以外の優待も多いため、その他の優待においてはANAの圧勝と考えたほうが賢明です。
特にお土産を安く購入したいという方にとって、売店や免税店の10%割引券が手に入るANAの株主優待は、とても価値を持っています。
株価と配当金でJALとANAを比較
JALの株価と配当金
JALの株価は2019年11月21日の終値で3,357円となっており、100株の入手には335,700円が、1,000株の入手には3,357,000円の投資が必要です。
JALの1株あたり配当金は110円に設定されているため、配当利回りは3%を超えており、高利回り銘柄の一つとして扱うこともできます。
ANAの株価と配当金
ANAの株価は2019年11月21日の終値で3,743円となっており、100株の入手には374,300円が、1,000株の入手には3,743,000円の投資が必要です。
ANAの1株あたり配当金は75円なので、配当利回りとしては2%前後となり、高利回りとは言えないまでも一定以上の配当金が手に入る銘柄になります。
株価と配当金でJALとANAを比較
株価としてはJALのほうが安く、それでいて配当金はANAよりも高いため、高利回り銘柄を探している投資家にとって魅力が大きいのはJALになります。
JALは優待の内容と量ではANAに劣るものの、株主に対しては株主優待よりも配当金という形で還元しようとする姿勢が強い企業と考えるのが自然です。
株主優待を重視するならANAを、配当も含めたトータルのリターンを期待するならJALを選んで投資すると、希望が満たされる確率が高くなるでしょう。
なお、仮に50%の航空券割引券をオークション等で換金した場合、落札相場はJALが1枚5,000円前後であることに対し、ANAは1枚4,500円程度に落ち着いています。
株主優待の中身をインカムゲインとして現金に換算すると、JALを選んだほうが1枚あたりの売却益で500円程度の得をすることが可能です。
まとめ
JALとANAでは、それぞれが自社や自社に関連する航空会社で使用できる割引券を株主優待にしており、正規料金の50%割引で空の旅を楽しめるようになります。
細かな配布条件は所有する株数によっても異なりますから、それぞれの条件について深く確認しながら投資する会社や株数を決めることがおすすめです。
まとめとしては、株主優待の内容と量を求める場合にはANAを、配当金を含めたリターンを求める場合にはJALを選んで投資すると、投資家の満足度が高まるものと考えられます。