国内にはさまざまな投資対象があります。
その中でも、もっとも安全な金融商品といわれているのは国債です。
投資をこれから始めようとする人の中には、国債について把握しておきたいという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、国債の仕組みについてわかりやすく紹介します。
また、国債の利点やリスク、購入方法もまとめました。
国債に興味のある人は、この記事を役立ててください。
国債とは?債権とは?
国債とは国が発行する債券
国債とは、「国庫債券」の略のことで、国が発行する債券という意味です。
企業が経営をするには、多額の資金が必要です。
自己資金が不足した場合、銀行や信用金庫などからお金を借りて経営します。
同じように、国家の統治機構である政府が運営をするにはお金が必要です。
通常は国民から税金を徴収して運営する資金を集めますが、足りない場合は国債を発行して資金を調達します。
債権とは借用証書
債権とは、資金調達という目的のために発行した借用証書です。
基本的に、企業の借用証書については「社債」、地方公共団体の借用証書については「地方債」と呼びます。
そして、国の場合、「国債」という名称を使います。
国債を買うとは、国の借金の申し出を了承してお金を貸すことです。
国債には利子が発生する
銀行や信用金庫への預金をすると利子を受け取れます。
同様に、国債を持っていると年間で2回の利子を受け取れます。
国債には満期があります。
満期とは借金の返済日のことを意味しており、満期をむかえた場合には全額を返さなければなりません。
国債の場合には、満期をむかえると利子と一緒に国債を買ったお金が戻ります。
国債は日銀や民間の銀行がおもな保有者
日本銀行が発表した「資金循環統計」の「国債等の保有者別内訳」によると、保有者の割合は以下のとおりです。
日本銀行(日銀) | 46.5% |
民間の銀行など | 39.5% |
海外 | 7.4% |
社会保障基金 | 4.2% |
証券会社など | 2.0% |
上記のデータからわかるとおり、国は日銀や民間の銀行から資金を調達しています。
国債はマイナス金利
日本ではマイナス金利の政策を取っており、国債についてもマイナスの利回りが続いています。
利回りがマイナスになると、国債を買って満期まで持っている場合、払った金額よりも減ってしまうことがあります。
しかし、民間の銀行はマイナス金利の国債を買ったとしても、日銀に買い取ってもらうことができます。
また、日銀はマイナス金利の国債を買い取ることで経済を活性化させることができます。
国債にはさまざまな種類がある
一口に国債といってもさまざまなものがあります。
また、国債の中には利子がつかないものがあるので覚えておきましょう。
おもな国債には以下のものがあります。
利子国債
年に2回の利子を受け取れる国債です。
満期をむかえたときには元金を受け取れます。
利子国債の中には、金利が満期まで変わらない「固定利子国債」と金利が変動する「変動利子国債」があります。
個人向け国債
この国債の特色は個人で買えることです。
3年と5年の固定金利のタイプと10年の変動金利のタイプがあり、それぞれ1万円から買えます。
個人向け国債は、0.05%の下限保証があるので、安心して買えるでしょう。
また、発行してから1年が経過すると中途換金ができます。
新窓販国債
2年、5年、10年の満期がある国債です。
個人で買うことができる国債ですが、法人も買うことができます。
中途換金ができないものの、市場への売却は可能です。
ただし、売却した価格によって元本割れをすることもあります。
新窓販国債については、5万円から買えます。
物価連動国債
物価の動きによって元金が変わる国債です。
満期まで金利が変わることはありませんが、元金については物価の動きによって変わるので、利息が増えたり減ったりします。
満期は10年のみです。
平成27年より、個人で買えるようになりました。
割引国債
割引国債の特色は、利子が発生しないことです。
国債を返却したときの金額と、国債を購入したときの金額の差額が利益となっています。
差額によっては、損をすることもある国債です。
割引国債は、法人のみが購入可能となっています。
国債を買う方法
国債は、欲しいときにいつでも買えるものではありません。
募集している期間内に限り、国債を買えます。
国債を発行する期間は、年ごとによって変わるので、財務省のホームページなどでチェックしておくとよいでしょう。
銀行や証券会社で買える
国債は、財務省では買えません。
国債の発行市場である銀行や証券会社で買えます。
銀行や証券会社の窓口で購入できますが、気軽に買ってみたい人はネット証券がおすすめです。
国債を取り扱っているおもなネット証券は以下のとおりです。
・SBI証券
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券
・みずほ証券
・楽天証券
・岡三証券
・アイザワ証券
・大和証券
・マネックス証券
・SMBC日興証券
国債を購入する場合には口座開設が必要
国債を買うときには、金融機関の口座開設が必要です。
銀行で口座を開設するときには、窓口で手続きをしなければなりません。
ネット証券については、ウェブでの口座開設の手続きが可能です。
購入の手続きをする
口座開設が終わったら、国債の購入の手続きです。
銀行の場合は、印鑑や本人確認書類、購入代金が必要です。
一方、ネット証券についてはウェブですべての手続きができます。
なお、一度購入の手続きをするとキャンセルできないので注意しましょう。
国債を購入する利点
国債を買う利点として、以下の2つがあるので覚えておきましょう。
安全性が高い
利点のひとつは、安全性の高さです。
株式投資は、購入した企業の業績によっては大きく下落することもあります。
そのため、場合によっては元本割れするリスクに注意しなければなりません。
国債は国が発行しているので、国が破綻しない限り大きく下落することはありません。
初めて投資を行う人にとってはおすすめといえるでしょう。
銀行よりも金利が高い
三菱UFJ銀行の2019年10月時点の円預金金利は、0.001%です。
一方、個人向け国債の金利の下限は0.05%となっています。
そのため、銀行の普通預金よりも還元が多いといえるでしょう。
国債を購入するリスク
国債を買うリスクとして、以下の2つがあるので覚えておきましょう。
換金がすぐにできない
個人向け国債は、1年間は途中換金ができないというリスクがあります。
そのため、手持ちのお金を使用する予定のある人にとっては不向きといえるでしょう。
いつでも購入できる商品ではない
国債は購入する期間が決まっています。
そのため、財務省のホームページなどで国債を発行する期間をチェックしておかなければなりません。
外国の国際も買うことができる
日本の国債と同じように海外の国債も個人で買うことができます。
日本で買うことができる国債として以下の国があります。
・アメリカ
・ロシア
・ブラジル
・オーストラリア
・サウジアラビア
・トルコ
・南アフリカ
・カナダ
・インド
・イタリア
・ポーランド
・イタリア
海外の国債を買うときに気をつけておきたいこと
海外の国債を買うときに注意しておきたいのは、為替変動のリスクです。
海外の国債のほとんどは、ドル建てやユーロ建て、または現地通貨建てを採用しています。
そのため為替が大きく変動する元本割れになることがあるので、十分に検討するようにしましょう。
デフォルトにも気をつけておく必要がある
海外の国債についてはデフォルト(債務不履行)にも気をつけなければなりません。
ギリシャでは、ヨーロッパ連合や国際通貨基金(IMF)への返済が滞ったことによりデフォルトを起こしています。
デフォルトになった場合には、国債が返済されなくなるので気をつけましょう。
特に、政治が安定していない新興国については、大きな事件により経済が傾く可能性があるので注意が必要です。
まとめ
国債は、国が発行する債権のことです。
税収だけでは足りないときに、国債を発行することで必要な資金を賄うことができます。
国債のおもな保有者は、日本銀行や民間の銀行ですが、銀行や証券会社を通して個人で購入することも可能です。
国債の購入に興味のある方は、一度銀行や証券会社に相談してみることをおすすめします。