消費増税について様々な情報が錯綜し、実際のところどうなるのかわからない人が多く見られます。
税金には負担というイメージがあるので、そう思われても仕方がないという側面があります。
しかしながら消費税を徴収された後、何につかわれているのか、今回増税したことで自分の生活にどのような影響があるのかを理解することで、負担というイメージを少し払拭することができるでしょう。
そこで今回は、消費増税することで消費者にとってどんなメリットとデメリットがあるのかをご紹介いたします。
Contents
消費税とは
お店で商品や製品を買ったり、サービスを受けたりといった消費活動に課税される税金のことです。
消費税は消費税を徴収している事業者がまとめて納税するのですが、販売している商品やサービスの料金に上乗せされているので、事業者が負担しているわけではなく、消費者が負担していることになります。
消費増税のメリット
消費増税はネガティブな報道もあり、マイナスに考える方が多く見られますが、その中で消費増税することのメリットを理解している方は少ないようです。
消費増税するメリットを紹介していきましょう。
社会保障制度が安定する
みなさんが病気になった時に、使用している健康保険証や年金の財源は消費税の一部が割り当てられています。
つまり、増税されることで以前より多くの財源を社会保障にまわすことができるということです。
年金は将来的に破綻するといわれてますが、多くの財源が年金に回れば、今働いている現役世代も問題なく年金を受けられるようになる可能性が高くなります。
訪日外国人からも税収を得られる
昨今訪日外国人が増え、2020年には東京オリンピックも控えているのでさらに外国人の入国も増えるでしょう。
そういった外国人が国内で様々なサービスを受けたり、商品を購入したりすることで消費税を徴収できます。
課税範囲が広い
消費税は、商品の購入やサービスを受けたりする消費者が対象となっているため、働いていない方でも消費者であれば対象になります。
具体的には働いている方もいると思いますが、年金生活者や貯蓄がある高齢者が対象です。
また所得税は自営業者や法人のほうが優遇されますが、消費税の場合そういった優遇が一切なく一律で同じ税率で徴収されますので、不公平感がありません。
労働意欲を阻害しない
所得税は累進課税といって、働いて稼げば稼ぐほど税率が上がっていく仕組みですが、消費税にはそれがないので働く意欲を阻害することはありません。
脱税が難しい
消費税の場合、支払う代金に対して課税されるので、不正しようと思っても不正しようがありません。
公共事業・復興事業の財源確保
消費税で確保した財源は、国の公共事業や被災地の復興事業の財源として使用されます。
公共事業は分かりやすく説明すると道路を作ったり、橋をかけたり、主に都市のインフラを整備することです。
復興事業も同じ側面がありますね。
公共事業・復興事業の財源が確保されれば、それにかかわる企業に財源が流れ、その企業で働く人々の給料に反映されて結果的に消費を刺激する事になります。
国の財源が安定する
国の財源が安定することで、公共事業・復興事業の財源確保以外に、教育や保育に財源をまわすことも可能になります。
昨今少子化が問題になっていますが、保育や教育に財源をまわすことで、子供を育てながら働く環境整備ができますので少子化対策へとつながります。
また高齢者の増加も懸念する材料として近年ささやかれていますが、介護や社会福祉へも財源をまわすことができるようになるので、介護施設で働く方たちの待遇改善、介護施設の増加が見込めます。
消費増税のデメリット
これまで消費増税のメリットを紹介してきました。
次に消費税のデメリットも紹介します。
景気悪化
単純に消費税が増えることで、消費者が負担をダイレクトに感じますので、消費が冷え込む可能性があります。
消費が冷え込むと様々なサービスや販売に影響があり、売り上げが減ります。
売上が減ることで、その企業で働いている人たちの給与もそれにともなって上がっていかない、減収になってしまうということもあります。
減収したことにより、少ない給与を無駄に使わないようになってさらに消費が控えられるという悪循環に陥る可能性があります。
国民負担が増加する
消費税は税率が変わらないので平等に徴収でき、不公平感がないとメリットでお伝えしましたが、デメリットでもあります。
不公平感がない分、所得が少ない、少なくなった人に対しても平等に同じ税率で課税しますので、所得が少なければ、少ないほど負担が多くなります。
消費増税に伴い展開される主な景気対策
消費増税に伴い、政府は緩和するために様々な景気対策を用意しました。
軽減税率
課税感を緩和するために以下のように分類されてますが、購入したものや方法によって税率が変わります。
少し複雑ですが、普段、スーパーなどで購入している食品のほとんどが軽減税率の対象と考えていいでしょう。
軽減税率(8%) | 標準税率(10%) |
飲食料品
・精米、野菜、精肉、鮮魚、乳製品、パン類、菓子類等 ・ミネラルウォーター ・食用トウモロコシ、食用アロエ、食用重曹、食用のかぼちゃの種 ・枝肉、活きあじ ・アルコール分1度以下の飲料(ノンアルコールビール等) |
飲食料品に該当しない
・水道水 ・観賞用植物 ・清掃用重曹 ・栽培用種子 ・酒類(アルコール分1度以上の飲料) ・医薬品・医薬部外品等 ・生きた家畜 ・家畜等の飼料 ・熱帯魚 |
飲食料品の譲渡
・テイクアウト、出前 ・学校給食、有料老人ホームなどで提供される食事 |
飲食料品の譲渡に該当しない
・外食、ケータリング、出張料理などでの食事 |
新聞の譲渡
・週2回以上発行される定期購読の新聞 |
新聞の譲渡に該当しない
・電子版の新聞 |
※参考 国税庁 消費税軽減税率制度の手引き Ⅱ 軽減税率の対象品目 [1 飲食料品の範囲等]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/01-1.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0017007-067_04.pdf
幼児教育無償化
2019年10月からスタートした施策で以下が対象範囲です。
小さい子供がいる家庭は恩恵がありますね。
・幼稚園・保育所・認定保育園などを利用する3歳~5歳までの全ての子供たちの利用料が無料
・0歳~2歳までの子供たちも利用料が無料(住民税非課税世帯のみ)
・幼稚園・保育所・認定保育園に加えて、地域型保育も無料になります
※参考 内閣府 幼児教育・保育の無償化
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html
キャッシュレス決済のポイント還元
こちらも2019年10月から2020年6月まで対象店舗で、クレジットカード・デビットカード・電子マネー・スマートフォン等を使って代金を支払うとポイント還元を受けられる制度のことです。
ポイント還元率は最大で5%が還元されます。
ポイントは各決済手段(クレジットカード・デビットカード・電子マネー・スマートフォン等)でどのようにポイント還元されるのか違いますので、「経済産業省 キャッシュレス・消費者還元事業 [消費者向け説明資料] 16ページ 参考資料2」の還元方法を参照してください。
※参考 政府広報 知ってほしい!キャッシュレス決済に対するポイント還元制度のこと
https://www.gov-online.go.jp/cam/shouhizei/cashless/
※参考 経済産業省 キャッシュレス・消費者還元事業 [消費者向け説明資料]
https://cashless.go.jp/assets/doc/consumer_introduction.pdf
プレミアム付き商品券発行
住民税が課税されている方に扶養されている方や3歳未満の子育て世代、生活保護の受給者などを対象に25,000円分の商品券を20,000円で購入できるサービスです。
20,000円を使って一括で買わなければならないサービスではなく、5,000円単位で購入可能です。
例えば5,000円分の商品券を4,000円で5回購入するというイメージです。
こちらも期間が設定されており、2019年10月~2020年3月までとなっております。
※参考 内閣府 確にん プレミアム付商品券
自動車税の減税
2019年10月1日以降に新しく自家用車を購入する場合、自動車税の税率が引き下げられました。
ただし軽自動車税は対象ではありませんので注意してください。
※参考 総務省 2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/131410.html
住宅ローン減税
消費税10%が適用される住宅を購入し、2019年10月1日から2021年12月31日までに入居した場合は、通常控除期間が10年の住宅ローン減税が3年延長され、13年間住宅ローン減税を受けられます。
※参考 国土交通省 すまい給付金
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/
まとめ
今回は、消費増税することで消費者にとってどんなメリットとデメリットがあるのかを紹介しました。
消費税増税されたことによるメリットとデメリットをある程度、理解できたのではないでしょうか?
消費増税に伴い、政府が展開している様々な施策をそれぞれ自身の状況を照らし合わせ、適用できるものは適用し、消費増税とうまく付き合いましょう。