移動平均線とは?見方や代表的な売買サインを初心者向けに詳しく解説
移動平均線とは?見方や代表的な売買サインを初心者向けに詳しく解説

移動平均線は、トレンドの方向や強弱を見ることができ、売買タイミングの見極めに役立つテクニカル指標です。

株価チャートではローソク足とともに表示されることが多く、多くの投資家も活用しているため、ぜひ押さえておきたい基本的な知識の一つとも言えます。

 

そこで今回は、移動平均線とは何か、見方や代表的な売買のサインも含めて解説します。

また、移動平均線を活用する際の注意点もお伝えしますので、これから投資を始める方はぜひ参考にしてみてください。

 

移動平均線とはどのようなもの?

移動平均線とは、ある一定期間の株価の終値平均を線で結んだもので、テクニカルチャートの中でもポピュラーな手法です。

一定期間中の価格の傾向や流れなどをみることができ、ローソク足と組み合わせて売買のタイミングを計る際にも活用されています。

 

一般的に、日足チャートの場合には5日移動平均線や25日移動平均線、週足チャートの場合には13週移動平均線や26週移動平均線が用いられ、短期間であるほど直近の動きを反映しやすく、長期間であるほど日々の株価に影響されにくいのが特徴です。

また、単独でも大まかな流れなどの分析はできますが、期間の異なる移動平均線を組み合わせること相場の転換点を確認することができるため、短期線と長期線、短期線と中期線、長期線3本など、足の異なる移動平均線を組み合わせて使用することが多くあります。

 

3種類の移動平均線

移動平均線には、単純移動平均線と加重移動平均線、指数平滑移動平均線の3つの種類があります。

計算方法までマスターする必要はありませんが、トレードの手法や期間によって使いやすい移動平均線が異なりますので、どのような違いがあるのかなどを大まかに確認しておくとよいでしょう。

 

単純移動平均線

SMA(Simple Moving Average)とも呼ばれる単純移動平均線は、文字通り一定期間の終値を単純に平均して線で結んだものです。

たとえば10日移動平均線の場合、当日を含めた過去10日間の終値を合計してから、単純に10で割った数値を求めて線で結ぶという簡単なもので、一般的に移動平均線といえば単純移動平均線のことを指すことが多く、もっとも使用されているものでもあります。

 

加重移動平均線

WMA(Weighted Moving Average)とも呼ばれる加重移動平均線は、単純移動平均線よりも直近の価格に重点を置いた移動平均線です。

たとえば5日加重移動平均線の場合には、5日目の価格を5倍、4日目の価格を4倍、3日目の価格を3倍、2日目の価格を2倍にして計算していますが、相場の動きに早く反応できるというメリットがあるため、多くの場合は単純移動平均線と組み合わせて使われています。

 

指数平滑移動平均線

EMA(Exponential Moving Average)とも呼ばれる指数平滑移動平均線は、単純移動平均線や加重移動平均線よりも直近の価格に重点を置いているもので、早く反応するという特徴があります。

たとえば5日指数平滑移動平均線の場合、5日目の価格を2倍にして合計し、5で割って算出しています。

 

移動平均線の見方のポイント

移動平均線の見方には2つのポイントがあります。トレンドの動きや強弱をつかむことに役立ちますので、ここはしっかり押さえておきましょう。

 

移動平均線とローソク足の位置関係

まずは移動平均線とローソク足の位置関係です。

具体的には、ローソク足が移動平均線より上にある場合には上昇トレンド、ローソク足が移動平均線より下にある場合には下降トレンド、ローソク足が移動平均線に張り付いている場合にはレンジ相場であるということになります。

 

移動平均線の傾き

上昇トレンドが強い場合には、移動平均線の角度は急な右肩上がりになり、逆に下降トレンドが強い場合には急な右肩下がりになるなど、トレンドの強弱を判断するためには移動平均線の傾きに注目することも重要なポイントです。

また、方向感のないもみあい局面では横ばいになりますが、どちらに向かうか迷っている段階ですので、ここではトレンドの判断はできません。

 

移動平均線で示される代表的な売買サイン

次に、移動平均線で示される代表的な売買サインを2つご紹介しましょう。

そもそも移動平均線は、計算の対象となる期間が長いほど変動が緩やかになり、価格の変動に対して反応が鈍くなるという特徴があります。

 

この特徴を活用した分析手法として、2本の移動平均線のクロスを使って今後の値動きを予想する方法があり、その代表ともいえるのが「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」です。

 

ゴールデンクロス

ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へクロスすることです。

これは、長期的な値動きに対して短期的な値動きが強く上昇している場合に出現するもので、直近の価格傾向が上向きに転じたとみられるため買いサインとされています。

 

デッドクロス

デッドクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下へクロスすることです。

これは、長期的な値動きに対して短期的に強く下落している場合に出現するもので、直近の価格傾向が下向きに転じたとみられるため売りサインとされています。

 

移動平均線の注意点

最後に、移動平均線を活用する際の注意点を確認しておきましょう。

 

移動平均線にはタイムラグが発生する

移動平均線は、移動平均線の計算方法からも想像できる通り、価格の変動に対して反応が遅れるためタイムラグが発生してしまうという弱点があります。

計算に使用する終値は、そもそも一定期間の過去の結果であり、決して相場に先行したものではないということです。

 

そのため、あくまで相場状況を確認するための指標であると理解し、移動平均線だけで今後の相場予測は難しいものと考えておいたほうがよいでしょう。

 

移動平均線だけで判断するのは危険

シンプルに相場の状況を判断できることで多くの投資家に活用されている移動平均線ですが、決して万能ではないことを認識しておかなければなりません。

たとえば、ゴールデンクロスが表われた時点で長期の移動平均線が上昇中の場合、一見すると相場の上昇が期待できますが、それによって買いが殺到した反動で一気に下降してしまうこともあります。

 

また、ゴールデンクロスが表われた時点で長期の移動平均線が下降中の場合、その後すぐに下降トレンドに入ってしまうこともあります。

このようにゴールデンクロスは、サインとしてとてもわかりやすい反面、必ずしも買いのサインであるとは限らないということがあるのです。

 

そのため、このようなケースでは、どのような状況の中でゴールデンクロスが現れたのかを見極めると同時に、複数のテクニカル指標を活用して総合的な判断が欠かせないということになります。

決して移動平均線のサインだけに頼らないことが大切なのです。

 

また、サインが出たら様子を見てから注文を出すなど、少しだけタイミングをずらすなどの工夫も検討してみるとよいでしょう。

 

まとめ

今回は、移動平均線の基本的な見方や代表的な売買サインについてお伝えしました。

多くの投資家に活用される移動平均線ではありますが、先行して株価の動向をつかむことは難しく、また必ずしも買いや売りのサインが確実だとは限りません。

 

移動平均線だけで判断することはおすすめできませんので、複数の指標と組み合わせて上手に活用していってください。

 

 

関連:[株価チャートの読み方]酒田五法・移動平均線・ローソク足・一目均衡表...網羅的に解説。

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