日本では、住宅購入するにあたって新築を選ぶ人がほとんどです。
中古がほとんど選ばれないのは、日本がもともと住宅の劣化が起こりやすく、かつ住宅の劣化に対してうるさい国柄であることが関係していると考えられています。
分譲マンションでも同様ですが、特に一戸建てにおいて新築を選ぶ人が多い傾向にあります。
日本では、新築の一戸建てを購入した際に住宅ローン控除を受けられるなど、新築を選ぶメリットも多くありました。
しかし2006年に住生活基本法が施行されたことによって、住宅診断の導入などが始まり中古住宅市場も徐々に活性化の波上にあります。
今回は、一戸建て住宅における新築と中古のメリット・デメリットをご紹介します。
簡潔かつ、網羅的にメリット・デメリットを分けて解説しますので、この記事を参考に新築と中古どちらを選ぶかの指標にしてみてください。
新築一戸建てのメリット
日本では、新築住宅を選ぶ人が圧倒的多数派となっています。
国土交通省の調査によれば、日本における中古住宅の流通量はほんの13.5%ほどしかありません。
反面、欧米諸国の場合ではアメリカが90.3%、イギリスが85.8%を中古住宅が占めており、日本とは正反対の結果となっています。
中古住宅があまり好まれないのは、木造が主体で湿潤な気候、災害が多い国である日本ならではです。
住宅の寿命も他国に比べると短いことも影響しています。
アメリカやイギリスでは住宅の寿命が長いせいか、日本とは違って中古住宅市場が成熟しています。
それでは日本で新築を購入するメリットは一体どこにあるのでしょうか。以下に詳しく見ていきましょう。
税制上の優遇がある
日本では、住宅を新築で購入した場合に、購入の際、また入居後の税金面において、中古よりも優遇を受けやすい、というメリットがあります。
代表的な例としては、住宅購入時にローンを使って購入することで一定の割合に相当する金額について所得税からの控除が受けられる「住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)」があります。
購入から10年間、各年の控除限度額40万円(認定長期優良住宅等の場合は最大50万円)までの控除を受けることができます。
所得にかかる所得税からの控除となるので、そもそも収入が少ないなどで所得税が少ない場合、その範囲内でしか控除されません。
控除しきれなかった差額分は住民税等から控除されます。
また法務局に対して土地や建物の所有権を登記する際にかかる「登録免許税」の税率が、一定の要件を満たすことで軽減されます。
また、住宅購入時にかかる「不動産取得税」も、一定の要件を満たす場合に都道府県税事務所に対して申告することで、税率軽減措置が受けられます。
申告期限がありますので忘れずに手続きしましょう。
新築住宅の購入の際には、住宅購入後にかかってくる「固定資産税」も、新築竣工から3年度分、半額に軽減されます。
一定の要件を満たせば、この軽減期間がさらに長く、5〜7年度分に延長されます。
土地の固定資産税も一定の要件を満たすことで6分の1〜3分の1に軽減されます。
中古一戸建てよりも維持費用がかからない
新築住宅は、中古住宅よりも無論状態が良く、建てられたばかりということもあって、特に最初の10年間はほとんど維持費がかからないと言っても過言ではないくらい、維持費用が安くなります。
日本では住宅の劣化が諸外国よりも大きくかつ重く見られる傾向にありますので、多少高くても状態のいい新築住宅の方が、維持修繕費がかからずに済むのは間違いありません。
より新しい技術でたてられた新築はその分壊れにくい、というのも当然の理屈と言えるでしょう。
最初から最新の設備が備わっている
最新の住宅は、中古住宅にはない最新の設備が最初から備わっている場合が多いです。
例えば家庭用蓄電池、太陽光発電などは。中古の場合では間取りや構造上の都合により後から備え付けられない場合も少なくありません。
近年ではスマートハウスと言って、IT技術によって住宅の設備を制御できる住宅、例えばスマートフォンや音声認識技術で照明や扉の開閉、空調などを自由に操作できる住宅も続々開発されています。
住宅の保証が受けられる
新築の場合、すべての住宅で「住宅品質確保促進法」によって10年間の品質保証が受けられます。
住宅の品質を左右する柱や梁など建築における構造上の根本部分、雨水の浸入を防ぐ部分に限られますが、新築住宅ではこうした購入後も安心できる制度も十分に整っています。
何よりも快適さがいちばんの魅力!
新築においては様々なメリットがあることを紹介してきましたが、何よりも大きな理由は「新築に住めるということの快適性」にあることは間違いありません。
住宅は生活の拠点となる場所ですから快適性というメリットは決して無視できない大きなメリットであり、新しければ新しいほど、劣化や使用感がなく快適に住むことができます。
新しい木の匂いというのは本能的にリラックス効果を与えてくれるものです。
新築一戸建てのデメリット
以上のように新築一戸建てにはメリットが多いですが、その反面デメリットもあります。
以下に詳しく解説していきます。
中古と比べると高額
当然といえば当然ですが、新築住宅は中古住宅よりも高額になることが第一のデメリットです。
国土交通省が実施した住宅市場動向調査によれば、中古分譲一戸建ての平均価格が2,358万円に対して、新築分譲一戸建ての平均価格は3,684万円となり、平均にして1,326万円ほど新築住宅の方が高いという計算になります。
単純に新しいから価格が高いというだけではなく、新築で特に一戸建ての場合は、不動産会社の広告宣伝費や人件費、会社として得るべき利益などのコストが余計に上乗せされるということも高額である要因となっています。
プレビルド物件では完成前のイメージと完成後のギャップが生まれるリスクがある
新築一戸建ての場合、既に建っている一戸建てを分譲で買うケースもありますが、マイホームを設計段階から検討したり、計画段階で売りに出されているプレビルド物件を検討したりということも多くあります。
こうした場合、住宅がまだ建っていないため、実際の日当たりや眺めと計画段階のイメージが違ったり、雰囲気なども事前に聞いていたのと違った仕上がりになったりなどのギャップが生まれるリスクがあります。
付帯設備や家具を新たに購入する必要がある
新築なので、これまた当然といえば当然の話にはなりますが、特に一戸建ての場合、それぞれの家に合った家具というものがあり、多くの場合、エアコンや照明。冷蔵庫、洗濯機など生活の要となるような家具、付帯設備を新たに購入・整備する必要があります。
その購入・設置分のコストが更に上乗せされることも、新築住宅のデメリットの代表例です。
中古一戸建てのメリット
まだまだ新築購入者が多いとはいっても、徐々に中古住宅は成長の兆しを見せています。
それでは中古住宅にはどういったメリットがあるのでしょうか。以下に詳しくご紹介しましょう。
新築一戸建てよりも価格が割安
これもまた当然といえば当然の話ですが、新築一戸建てよりも遥かに格安で購入することが可能です。
木造住宅には耐用年数があり、税制上では築22年で価値がなくなるとされています。
中古住宅は耐用年数に近づくごとにどんどん安くなっていきますので、先程取り上げた国土交通省の調査では平均価格にして1,356万円の差がありましたが、条件によっては新築の半額以下で購入できたり、ほぼ土地代のみで購入できたりもします。
また、新築一戸建てにおいてかかってくる水道負担金などのコストも中古ならかかりません。
水道負担金とは、新規に上下水道本管から水道管を引き込む場合に水道局に納付しなければならない費用です。
これは分譲新築で既に引き込んであったとしても、購入時にはかかってくる場合が多いものです。
購入後のリノベーションで新築との価格差が補って余りある場合も
中古住宅は状態が悪い、というイメージはどうしても拭えませんよね。
しかし中古住宅はリフォーム・リノベーションの余地があります。
リフォーム・リノベーションの規模にもよるものの、あまりにも傷んだ荒屋をほぼ土地代のみで購入し、その後に全面リノベーションを施したほうが、相対的に見て下手に新築一戸建てを購入するよりもコストが安くなる場合も往々にしてあります。
実物が既に建っているので、購入前に日当たりなどを直接体感できる
中古の一戸建ての場合、ある意味一番のメリットと言えるのは「既にその場に建っている」ことではないでしょうか。
その場に既にあるということの安心感は凄まじいものがあり、購入後に建築を始めることの多い新築一戸建てにはないものです。
その場で、自分の足で歩くことができ、自分の目で状態を確認でき、自分の手で建物や屋内の設備に触れることができるということは、絶対的な判断材料として機能します。
使い勝手をイメージするにしても非常にリアルに思い描くことが可能ですし、リフォームをするにしても検討しやすいです。
エアコンなど家具や付帯設備が既についている場合がある
中古住宅の場合、既に家具がついている場合も少なからずあります。
特にエアコンや照明、換気扇などの付帯設備に関しては既に備え付けられている場合が多く、そうした設備の設置・購入にかかる負担がないというのは大きなメリットです。
ただし、住宅が中古ということはそうした家具家電付帯設備もすべて中古。
劣化や故障のリスクは大きいので結果的に余計な費用が掛かってしまう場合もあります。
中古住宅ならではの情趣や味わいがある
中古住宅の中でも特に和風家屋などレトロな住宅を購入した場合には、長年建っている中古住宅ならではの深い情趣や味わい、長い年月を経た空気感などを感じることができるので、そうしたものが好きな人にとっては十分なメリットとなります。
ただし経年劣化による腐食や虫が出るなどの場合にはリフォームや駆除の必要性があるのでコストがかかることもあります。
中古一戸建てのデメリット
中古住宅にも以上のようなメリットがあることがわかりました。
しかし、当然のことながらデメリットも否めません。
以下にデメリットも紹介しておきましょう。
維持費用が新築よりも多くかかる
当然の話ではありますが、新築よりも古い物件の方が、相対的に見て不具合や故障が起きやすいというリスクがあります。
中古で特に安い物件ほど、付帯設備や外壁の劣化や破損が見られますし、将来的に新築よりも近い期間に故障などの不具合が起きる可能性が高いので、新築購入時よりも維持修繕費用が遥かに多くかかるというのが実情です。
保証期間が短い、あるいはほぼ保証がない
中古一戸建ての売買に関しては、まだまだ個人間売買が主流です。
そのため、新築を購入した場合にはある住宅品質保証が基本的にはありませんし、あったとしても瑕疵担保が購入後3ヶ月ほどと非常に微々たる保証に留まります。
快適性において劣る
住宅というのは、人それぞれの好みもあるとはいっても、新しければ新しいほど快適に住めるものです。
中古一戸建ては中古であるというだけで、他人が使用した空気感や匂いが染み付いてしまうもの。
そうしたものを気にしない、または逆に味と捉えられるならともかく、苦手な場合は、中古一戸建ては絶対に選ぶことができないというレベルの拒否感が生まれてしまうでしょう。
まとめ
以上、一戸建てにおける新築と中古のメリットとデメリットを比較してきました。
新たに一戸建てを購入するときは、こうしたメリットとデメリットを天秤にかけた上で、新築を買うのか、中古を買うのかを選んでいきましょう。
不動産投資の場合、特に海外不動産の場合は中古物件の方が、節税効果が高いなどのメリットもありますので、一戸建てを買う目的によってもメリットの内容は変わってきます。
とはいえ一戸建てを買う場合の多くは居住目的でしょうから、何よりも自分の好みに合わせて、慎重に検討していくことが大切です。
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