扶養控除の5つの壁を徹底解説!100万円・103万円・106万円・130万円・150万円の壁
扶養控除の5つの壁を徹底解説!100万円・103万円・106万円・130万円・150万円の壁

結婚をされている方で、アルバイトやパートに就いているという場合、「配偶者控除」で家庭で納める税金額を安く抑えることができます。

2018年に税制が改正され少しだけ複雑になりましたが、現在は100万円・103万円・106万円・130万円・150万円と合計5つの壁が存在します。

では、それぞれの壁に関して、一体どのような違いや特徴があるのでしょうか。今回は、扶養控除の仕組みや計算方法をお伝えしていきます。

夫の扶養の範囲内で働ける収入金額はいくら?税金・保険5つの壁

税制上の「103万円の壁」、「150万円の壁」という言葉。よく新聞やニュースなどで、「この時期になるとパートで働く兼業主婦の方が、仕事量の調整に乗り出す」という情報を耳にします。

つまり、シフトなどを調整し、年収が103万円などの規定を超えないようにすることということです。

では、なぜこのような調整をしなければならないのでしょうか。

それは「配偶者控除」という制度があるからです。たとえば、夫が外で働いており、妻は専業主婦というケース。

現在の厳しい社会情勢では、夫一人の収入だけで家計を支えるのは困難です。

また、妻がパートに出て働いている場合でも、収入が低い場合も考えられます。

こうした家庭では、納税者(上記例だと夫)の所得税から、一定額の所得控除が受けられるようになっています。

控除の金額は、納税者の配偶者の収入金額に応じて変化します。

控除によって納税者の所得金額が少なくなるので、納める税金も減りますよね。

これが配偶者控除の仕組みです。冒頭でお伝えしたパートの事例は、配偶者である自身の収入額を調整し、納税者の負担を減らそうとしていたということです。

しかし、2018年からこの配偶者控除の税制が大きく変わり、所得税のほか、住民税や社会保険など、複数の「壁」が生まれました。

年収が、この「壁」を超えてしまうことで、配偶者控除が受けられず、税金の負担も重くなってしまうのです。

新しく生まれ変わった配偶者控除は、以下の通り5つの壁が存在します。

・100万円の壁
・103万円の壁
・106万円の壁
・130万円の壁
・150万円の壁

上記の壁によって、住民税や所得税など、どの分野が控除されるかが異なってくるので、以下でしっかりと学んでいきましょう。

住民税|100万円の壁

100万円の壁とは、住民税に関して扶養控除に該当するかどうかの基準点です。年収が100万円を超えてしまうと、納税者の配偶者控除から外れ、配偶者も住民税を納める義務が発生します。

ただし、この100万円という金額は自治体によって異なります。住民税の金額が自治体ごとに異なるからです。なかには93万円、97万円というように低めに設定されていることもありますので、お住いの自治体のホームページで確認してみましょう。

上記の収入をベースにすると、納める住民税は約83,000円から前後します。つまり、100万円を少し超えたあたりの収入だと、年間収入の合算が90万円ほどになってしまうのです。

所得税|103万円の壁

103万円の壁は、所得税について扶養控除に当たるかを判定する基準となります。103万円を超えてしまうと所得税を納める義務が生まれ、反対に下回っていれば支払う必要はありません。

103万円の壁を超えてしまうと、扶養者ではなくなるので、その方は納税者扱いになります。つまり、今度は自分で税金を支払う必要があるのです。

所得税は、所得(収入-経費)の金額によって5~45%の税率が適用されます。103万円の壁に近い状態では、おおよそ80,000円ほどの所得税が必要です。

ただし、103万円の壁を超えるということは、すでに100万円の壁も超えているということです。そのため、所得税と同時に、住民税も支払わなければなりません。つまり、両方を合わせて16~17万円ほどですね。

社会保険|106万円の壁

106万円の壁は、社会保険料が控除される基準点です。社会保険料の壁はほかにも130万円の壁があります。この違いは、企業規模や雇用期間によって設定されています。

106万円の壁の場合は、以下のような一定規模以上の会社で働く人を対象としています。

・正社員が501人以上
・収入が88,000円/月を超える
・雇用期間が1年以上
・所定労働時間が週20時間以上
・上記4点を含め学生ではない方が対象

上記に当てはまらないという場合は、壁が少し高くなって年収130万円が対象となります。

社会保険とは「健康保険」や「厚生年金保険」などを指し、年収が106万円を超えてしまった場合には、この保険料を支払う義務が発生するのです。仮に、一か月の給与が9万円で年収が108万円の場合、健康保険・介護保険料は約5,000円、厚生年金保険料は約9,000なので、月々14,000円程度が給与から差し引かれます。年間では18万円ほどの負担です。

もちろん、上記の年収だと、納税者として住民税と所得税も支払う必要があります。

社会保険|130万円の壁

・正社員が501人以上
・収入が88,000円/月を超える
・雇用期間が1年以上
・所定労働時間が週20時間以上
・上記4点を含め学生ではない方が対象

先ほどの5つの項目に該当しなかった場合は、130万円の壁が対象となります。こちらも106万円の壁と同じく社会保険料の控除ですが、130万円の壁を超えた場合は「自分で支払う」必要が出てきます。

年収が130万円を超えた方で、上記5つのポイントにも該当しない、なおかつアルバイトやパートという場合は、「国民年金保険」と「国民健康保険」に加入しなければなりません。「国民」と名前が付いている通り、これらは社会保険ではなく、自分で保険料を納める必要があります。

両者の保険料は月間で約30,000円、年間にすると約36万円ほどです。仮に130万円の壁を超えてしまって、年収が130万円ほどにおさまった場合は、手元に残るお金は94万円/年ほどになるということです(所得税と住民税が引かれるため実質はさらに低い)。

配偶者特別控除|150万円の壁

配偶者特別控除とは、納税者の年収が1,220万円以下(所得1,000万円以下)の場合、配偶者の年収が150万円までなら、納税者の税金から一部の金額を差し引ける制度です。たとえば、納税者の年間所得が900万円で、配偶者の年収が150万円未満の場合、納税者の税額から38万円が控除されます。

この150万円の壁を超えると、201万円まで徐々に控除額が減っていき、201万円を超えると控除額がゼロとなります。以下の表を見ると分かりやすいです。

 

納税者の所得
900万円 900万円超~950万円以下 950万円超~1,000万円以下 1,000万円超
配偶者の年収 配偶者控除 ~103万円 38万円 26万円 13万円 無し
配偶者特別控除 103万円超~150万円 38万円 26万円 13万円 無し
150万円超~155万円 36万円 24万円 12万円 無し
155万円超~160万円 31万円 21万円 11万円 無し
160万円超~167万円 26万円 18万円 9万円 無し
167万円超~175万円 21万円 14万円 7万円 無し
175万円超~183万円 16万円 11万円 6万円 無し
183万円超~190万円 11万円 8万円 4万円 無し
190万円超~197万円 6万円 4万円 2万円 無し
197万円超~201万円 3万円 2万円 1万円 無し
201万円超~ 無し 無し 無し 無し

 

扶養範囲に収まる給与の計算方法

ここまで100万円の壁から、150万円の壁まで、その特徴や仕組みについてお伝えしてきました。

では、実際に月にどれくらいの収入なら「セーフ」なのでしょうか。単純に壁となる金額から12カ月を割って計算すれば良いのか、意外と疑問に思うことも多いですよね。

実は、所得税(103万円の壁)と社会保険(106万円・130万円の壁)では、その計算方法や所得の規定が全く異なります。以下で詳しく解説していますので、月の扶養範囲内の給与を計算する際にご参考にしてみてください。

所得税の扶養範囲の計算方法

所得税は、交通費支給額などを除いた「課税支給額」をベースに扶養の判断が行われます。課税支給額は、毎月受け取る給与明細に記載されています。

そして、所得税は1月1日~12月31日の1年間の所得を、翌年の確定申告時(2月~3月)に支払うことです。給与には「1月分」など該当月が記載されていますので、1月~12月の課税支給額を合算して求めます。

社会保険料の不要範囲の計算方法

社会保険料の扶養の判断は、課税支給額ではなく、「総支給額」で行われます。総支給額は、課税支給額から交通費なども含まれており、こちらも給与明細で金額を確認できます。

ただし、所得税のように1月から12月といった特定の期間を定めません。1年間の見込み給与として判断されるため、現在から将来の1年間という考え方をします。

そのため、計算方法としては、まず社会保険料の壁である130万円を12カ月で割ります。すると、約108,300円/月となります。すると、この平均額を基準に、ご自身の平均総支給額を参考にしていきましょう。

たとえば、ここ三ヶ月の平均総支給額が90,000円/月であれば、社会保険の扶養範囲内に収まっているということです。

まとめ

特定の年収以下であれば配偶者控除が受けられる、その壁には5つの壁がありました。

・100万円の壁
・103万円の壁
・106万円の壁
・130万円の壁
・150万円の壁

 

それぞれ住民税や所得税、社会保険料の控除など種別が異なるので、夫婦それぞれがよく相談して決めるようにしましょう。

 

 

関連:[サラリーマンの税金]所得税をはじめとした年収別の税金の概要と手取りを多くする対策法を紹介!

なぜ今お金を学ぶのか?

 

老後はどのくらいのお金が必要ですか?

何歳まで働き、どのくらい稼げますか?

皆さんの祖父母世代は、銀行にお金を預けているだけで金利が10%、親世代は7%がつきました。

今は、0.01%しかつきません。

資産が倍になるまでの年数は、10%であれば7.2年。 7%だと10.2年。

今の日本の、0.01%だと6932年かかります。

昨今の2000万円問題もあり、投資による自助努力で、老後資産を築き自身の身を守る必要が出てきてます。

しかし、焦って投資を進めてしまうのはおすすめしません。 必ず失敗します。

また、資産運用を始めるにあたり、まずはセミナーに足を運ぶ選択肢もあります。

このサイトでは、あなたの目的や生活スタイルに合った投資・資産運用、おすすめのセミナーを特集しています。

資産を増やしていくには、適切な「伴走者」が必要です。

お金の不安を解消すべく、このサイトを活用し、明るい未来への第一歩を踏み出してください。