株式市場にはどんな種類がある?分かりづらい市場の種類を東京・地方に分けて解説

「株を始めたい!」といざ思い立っても、まず当たってしまう壁が「株式市場」「証券取引所」「上場」といった専門用語です。

慣れていない人だと、これらの言葉を聞いただけでつまずいてしまうかもしれません。

 

そこで、この記事では「株式市場の種類」についてわかりやすく解説します。

 

株式市場は発行市場と流通市場に分けられる

株式市場とは、その言葉のとおり「株が取引されているところ」という意味です。

 

株は企業と投資家、あるいは投資家と投資家の間で取引されます。

この取引を仲介するのが証券会社です。

 

株の取引は企業と投資家が直接行う場合と証券会社が行う場合があります。

株式市場は役割の違いから、「発行市場」と「流通市場」の2つに分けられます。

 

発行市場

発行市場とは、企業から投資家に株式が発行される市場のことです。

企業は新たに発行した株式を出資家・投資家に買ってもらい、資金を調達します。

 

発行市場の株式の流れは「企業→投資家」です。

この新株について、企業は返済や利息などの義務を負いません。

 

企業が直接投資家に株式を発行する場合もあれば、証券取引所を仲介して発行する場合もあります。

 

流通市場

一方、流通市場とは投資家と投資家の間で株式が時価で売買される市場のことを指します。

投資家は発行市場で一次取得した株を流通市場で売買し、利益を上げます。

 

流通市場の株式の流れは「投資家→投資家」です。

 

株式の売買が直接行われることはほとんどなく、証券取引所をはじめとして、さまざまな市場があります。

 

日本にある4つの証券取引所

株初心者が株式の取引を始める場合、証券取引所を仲介して売買するのが一般的です。

証券取引所に企業が上場することで、その企業の株式が株式市場で売買されるようになります。

 

国内には証券取引所が東京、名古屋、福岡、札幌の4ヶ所にあります。

 

以前は大阪にも取引所がありましたが、株式取引は2013年から東京に統合されており、現在はデリバティブと呼ばれる取引に特化した取引所になっています。

 

現在ある4ヶ所の取引所すべてが同規模かというと、そうではありません。

 

東京証券取引所、通称「東証」の規模が圧倒的に大きく、誰もが名前を聞いたことのある有名企業の多くが東証に上場しています。

 

上場企業数を比較すると、東証の大きさがよくわかります。

20191010日時点での東証の上場企業数は3680社です。

 

一方、他の3つの取引所に上場している企業数を見ると、名古屋取引所、通称「名証」が290社、福岡取引所は111社、札幌取引所は59社となっており、合計460社です(20191010日時点)。

 

東証に上場している企業数は、それ以外の取引所の合計と比較しても8倍となっています。

 

また、各取引所でも以下のようにそれぞれ上場する市場が分かれています。

 

取引所 市場一覧
東京証券取引所 東証一部、東証二部、マザーズ、JAZDAQ
名古屋証券取引所 名証一部、名証二部、セントレックス
福岡証券取引所 本則市場、Q-Board
札幌取引所 本則市場、アンビシャス

 

東証にはこのほかにプロ向けの「TOKYO PRO MARKET」がありますが、これは取引所から認定された投資家でなければ売買できない市場となっています。

 

東京証券取引所の株式市場の種類

東京証券取引所、通称「東証」は日本最大の株式取引所です。

有名企業のほとんどは東証に上場しています。

 

東証の株式市場の種類をご紹介しましょう。

 

東証一部

一部は厳しい審査の下に上場できる市場で、有名企業の大部分がここに上場しています。

トヨタ自動車、三菱商事、日本郵政、イオン、パナソニック、セブン&アイホールディングスなど、上場している企業はどれも一度は聞いたことのある名前ばかりです。

 

上場の条件は以下のようになっています。

 

株主数 2,200人以上
流通株式 20,000単位以上
流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上
時価総額 250億円以上

 

上場の条件は厳しく、まさに一流の大企業が参入する市場となっています。

 

東証二部

東証一部の一段下のランクを占めるのが東証二部です。

東証一部より上場の条件は緩く、東芝、日本精機、アスビー食品、マックスバリュー西日本、ブルボンなど、有名な中堅企業が上場しています。

 

上場の条件は以下のようになっています。

 

株主数 800人以上
流通株式 4,000単位以上
流通株式時価総額 10億円以上
流通株式数(比率) 上場株券等の30%以上
時価総額 20億円以上

 

東証一部に比べてかなり条件は緩いです。

 

東証二部に上場したのち、東証一部に「指定替え」する企業もあります。

指定替えとは市場を変えることを指し、条件が満たせなくなったことにより、一部から二部に降格する企業もあります。

 

マザーズ

マザーズと後述するJASDAQは「新興市場」と呼ばれています。

新興市場とは、東証一部・二部とは違い、将来性のある小企業やベンチャー企業が上場する市場のことです。

 

マザーズにはミクシィ、メルカリ、ブシロード、クラウドワークスなどの企業が上場しています。

 

東証二部とマザーズは東証一部への「指定替え」において、他の市場より安い時価総額で指定替えができるため、のちには東証一部に参入することを目的にマザーズに上場する企業もいます。

 

上場の条件は以下のとおりです。

 

株主数 200人以上
流通株式 2,000単位以上
流通株式時価総額 5億円以上
流通株式数(比率) 上場株券等の25%以上
時価総額 10億円以上

 

流通株式、時価総額などにおいて、東証二部の半分での上場が可能です。

 

JASDAQ(ジャスダック)

JASDAQもマザーズと同じく新興市場ですが、マザーズとは審査基準が違います。

マザーズと同じく、新進気鋭の成長が見込まれるベンチャー企業が上場する市場です。

 

JASDAQは「スタンダード」「グロース」と呼ばれる2つの市場に分かれます。

 

グロースはスタンダードよりさらに審査基準が緩いため、赤字でなければ参入できる、まさにベンチャー企業向けの市場です。

 

スタンダードにはウエストホールディングス、日本電技、ミサワホーム、守谷商会、日本マクドナルドホールディングスなどが上場。

 

グロースにはサムシングホールディングス、ジェイテック、シード平和、やまねメディカルなどが上場しています。

 

上場の条件は以下のとおりです。

 

スタンダード グロース
株主数         200人以上 同左
流通株式時価総額 5億円以上 同左
純資産額 2億円以上 赤字ではない

 

名古屋・福岡・札幌証券取引所の株式市場の種類

続いて、東証以外の証券取引所の株式市場を見ていきましょう。

 

名古屋証券取引所

名古屋証券取引所、通称「名証」は201910月時点で上場企業は290社、東証に次いで大きな株式取引所です。

取引できる市場は以下のとおりです。

 

名証一部、名証二部

名証一部、名証二部は本則市場(メインとなる市場)であり、メディカル・ケア・サービス、中日本興業といった企業が単独上場しています。

 

その他、東証に上場しているミサワホーム、清水建設、大成建設、キリンホールディングスといった企業も重複上場しています。

 

セントレックス

セントレックスは東証におけるマザーズやJASDAQのような位置づけであり、新興市場となっています。

 

バルクホールディングス、東名、ゴルフ・ドゥといった企業が上場しています。

 

福岡証券取引所

福岡証券取引所、通称「福証」には1949年に設立された取引所です。

201910月時点で111社が上場しており、札幌証券取引所と共に「地方証券取引所」と呼ばれています。

 

九州の取引所というだけあって、九州地方の企業が多く参入しています。

 

本則市場(上場株式市場)

2019年9月時点で95社が上場している本則市場には、福岡中央銀行、サイタホールディングス、マルタイ、サンケイ化学といった企業が参入しています。

 

Q-Board

Q-Boardはベンチャー企業が上場する市場です。

 

20199月時点で16社が参入しています。

 

札幌証券取引所

福証と共に「地方証券取引所」と呼ばれている札幌証券取引所です。

通称「札証」と呼ばれており、20199月時点で59社が上場。

 

ほとんどが北海道を地元とする企業が上場しています。

 

本則市場(上場株式市場)

北海電気工事、北海道中央バスなどが上場している本則市場には、20197月時点で49社が上場。

 

札証単独の上場企業は17社です。

 

アンビシャス

RIZAPグループが上場しているアンビシャスは、ベンチャー企業向けの新興市場です。

 

20197月時点で10社が上場、うち9社が札証単独上場しています。

 

海外の株式市場の種類

続いて、海外の株式市場、とくに現在大国として勢いのあるアメリカと中国の株式市場について簡単に説明します。

 

<米国(アメリカ)株式市場 の種類>

証券取引所名 特徴 上場企業の例
NYSE(ニューヨーク証券取引所) 世界最大の証券取引所。上場基準が世界一厳しく、大企業が上場している。 フォード、米国銀行、アメリカン・エキスプレス、マクドナルド、アリババ
NASDAQ ニューヨーク証券取引所に並ぶ米国の代表的な取引所。ベンチャー企業や中堅企業まで上場している。 アップル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、コストコ

 

<中国株式市場 の種類>

証券取引所名 特徴 上場企業の例
香港証券取引所 世界有数の証券市場。大企業が上場する「メインボード」と中小企業が上場する「GEM」の2つの市場がある。 中国国際航空、キャセイパシフィック航空、中国銀行、レノボ
深セン証券取引所 アジアにおいて、東証に続く規模を持つ証券取引所。主に中国人投資家が売買できる「A株」と、外国人投資家も売買できる「B株」がある。 山東航空、TCL集団、蘇寧電器
上海証券取引所 深セン証券取引所と同じく、A株とB株を売買する。 中国石油化工、上海航空、青島ビール

 

まとめ

以上、株式市場の種類を東証と地方、海外まで紹介しました。

 

日本の多くの有名企業が東証に上場していますが、自分の地方の企業は地方証券取引所に上場しているかもしれません。

ネット証券によっては地方証券取引所を扱っていないところもあります。

 

自分が投資したい企業がどの市場に上場しているかチェックしてみましょう。

 

 

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