下図は京都信用金庫が提供している投資信託のランキング一覧です。
新光US-REITオープン「ゼウス」が閲覧回数ランキングで堂々の3位に入賞しています。
閲覧回数が高いということは、多くの投資家が興味を持っている投資信託であるということができます。
今回はこの投資家に人気の新光US-REITオープン「ゼウス」はどのような投資信託であるのか?その魅力を考察していきたいと思います。
また併せて、新光US-REITオープン「ゼウス」の投資効率についても分析していきたいと思います。
Contents
新光US-REITオープン『ゼウス投信』の人気の秘密
高い人気を誇る新光US-REITオープン「ゼウス」。ここではその人気の秘密を解析していきたいと思います。
アメリカの不動産に投資することができる!
通常不動産に投資する場合は多額の初期費用が必要になります。
しかしREITなら、お手ごろな値段で不動産に投資することができる魔法のアイテムなのです!
REITの基本的な仕組みは、個人投資家から資金を集め、その資金を不動産物件に投資します。
投資家は投資金額に応じて、投資から生じた利益を「分配金」として受け取ることができます。
よって、REITは間接的に不動産物件に投資することができる投資アイテムということができます。
独り勝ちのアメリカの不動産に投資することができる!
ソ連が崩壊し、世界の覇者となり、一人勝ちの国「アメリカ」。
最も投資安全度の高いアメリカの不動産に投資することができます。
以下は1994年からの米国REITの価格推移ですがリーマンショックを除いて基本的に右肩上がりに上昇していることが分かります。
これなら、投資安心感が高いのもうなずけますよね?
個人に人気の「毎月分配型」
新光US-REITオープン「ゼウス」の分配金は個人に人気の「毎月分配型」です。
よって、毎月お小遣いをもらう感覚で投資することができることが人気の秘訣といえましょう。
上図は新光US-REITオープン「ゼウス」の直近1年間の分配金です。
毎月25円分配金をゲットすることができています。およそ25万円の投資で1か月2,500円のお小遣いがゲットできるわけです。
注目度が高いことも理解できますね。
気になる新光US-REITオープン「ゼウス」の現在の基準価格ですが、なんと2,515円です!
ですから毎月およそ1%ものお金を分配金として受け取ることができることになります。
言い換えれば、年率12%!マイナス金利の日本ではありえない投資効率ということができます。
新光US-REITオープン「ゼウス」の甘い罠
驚異の分配金率を誇る新光US-REITオープン「ゼウス」。
しかし、甘い話には裏があるのが投資の世界の常識です。
ここでは、新光US-REITオープン「ゼウス」が抱えているリスクをご紹介していきたいと思います。
新光US-REITオープン「ゼウス」の価格推移
下図は新光US-REITオープン「ゼウス」の設定来の価格推移です。
疑問に思われた方が多いのではないでしょうか?
多くの魅力にあふれる新光US-REITオープン「ゼウス」がなぜ、底なし沼に嵌るがごとくに価格が下落し続けているのでしょうか?
指数が下がっているからでしょうか?それは違います。
先ほどご説明したように、米国リート指数は長期上昇トレンド中です。
実は、この価格の下落の裏に、新光US-REITオープン「ゼウス」のリスクが潜んでいるのです。
ⅰ.分配金が下げられている
実は以前は75円と高かった分配金ですが、2017年には50円、さらに2018年4月からはそのまた半分の25円に引き下げられています。
ですから今後も25円の分配金が継続するのかはかなり微妙であるといわざるを得ません。
ⅱ.底なし沼でいくらまで下げるのかわからない
10年前は6,000円前後で推移していた新光US-REITオープン「ゼウス」ですが現在2,500円付近です。
60万円投資していたと仮定すると、現在は25万円分しか資産がないということになります。
日経平均株価ですら10年でおよそ3倍になっています。
資産を半減以下にしてしまう新光US-REITオープン「ゼウス」は投資効率が良いのでしょうか?
また、現在は2,500円付近で踏みとどまっていますが、今後さらに下げる確率が高いことも考慮しなければいけません。
たこ足配当リスク
「たこ足配当」という言葉をご存じでしょうか?実は新光US-REITオープン「ゼウス」はこの「たこ足配当」を行っている投資信託なのです。
通常であれば、投資した不動産物件からの収益で分配金を支払います。
収益が一定ということはありませんよね?
しかし、新光US-REITオープン「ゼウス」は長期間75円という一定の分配金を出してきました。
なぜ、一定の分配金を出すことができたのでしょうか?
答えは簡単です!
運用の収益がない場合、純資産を食い潰していけばよいのです。
言い換えると、自分が投資したお金から分配金を支払ってもらっていたということになります。
ですから新光US-REITオープン「ゼウス」は価格が長期にわたって下落し続けたといえます。
もらった分配金の分、新光US-REITオープン「ゼウス」の資産価値が下落していただけなのです。
ですから、今後もたこ足配当を続ける新光US-REITオープン「ゼウス」の価格は下落していくしかないといえます。
ゼウス投信の高い手数料
ゼウス投信の手数料は非常に高くなっています。
ⅰ.基本的な投資信託の手数料
まずは基本的な投信の手数料について見ていきましょう。
手数料 | 支払時期 | 手数料の内訳 |
購入時手数料 | 購入時 | 購入時に販売会社に支払う費用。 |
運用管理費用(信託報酬) | 保有時 | 投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて日々支払う費用。 |
監査報酬 | 保有時 | 監査に要する費用。 |
売買委託手数料 | 売買時 | 売買する際に発生する費用。 |
信託財産留保額 | 換金時 | 購入または解約する際、手数料とは別に徴収される費用。 |
ⅱ.新光US-REITオープン「ゼウス」の投資信託手数料
購入時手数料 | ・窓口・積立投信の申込みの場合 2.7%
・インターネット申込みの場合 2.16% |
運用管理費用(信託報酬)
|
年率1.6524% |
監査報酬 | 間接的に負担 |
売買委託手数料 | 間接的に負担 |
信託財産留保額 | 1万口当たり基準価額に0.1%の率を乗じて得た額 |
新光US-REITオープン「ゼウス」は直接的に支払う手数料だけでも、3.84%~4.3%とられることになります。
また信託報酬は毎年発生するため、長期で保有する場合かなり高額な手数料を支払うことになります。
見てきたように「甘い話には裏がある」を地で行く、新光US-REITオープン「ゼウス」。
はっきり言って、投資商品としては高リスク過ぎて投資対象外であるといわざるを得ません。
新光US-REITオープン「ゼウス」の投資効率は?
新光US-REITオープン「ゼウス」は一見すると優良ファンドに見えますが、実はかなりリスキーな投資信託であることがわかりました。
ここでは実際に投資した場合の投資効率を分析していきたいと思います。
新光US-REITオープン「ゼウス」に1年間投資した場合のリターン率
1年間のリターン率は7.41%です。しかし、ここにも「罠」が潜んでいるのです!
騰落率の下のほうをよくみると小さな字で上記のような記載があります。
・騰落率(6カ月、1年、3年、設定来)は分配金込みで計算
分配金は年率およそ12%ほどあったはずですよね?
なぜ1年間のリターン率は7.41%と大幅に下がっているのでしょうか?
それはファンド自体の価格の下落によるものなのです。
・購入時手数料(税込)および分配金にかかる税金などは考慮しておりません
1年間のリターン率は7.41%から、購入時手数料2.7%と信託報酬1.6524%を差し引いて考えなければいけません。
実質的な1年間のリターン率=7.41%-(2.7%+1.6524%)=3.0576%
さらにここから税金が引かれることになります。
以下はS&P500指数の過去3年のリターンとなっています。
同期間で1.5倍に上昇していることを考えるとゼウス投信に投資妙味があるとはいえませんね。
まとめ
今回は新光US-REITオープン「ゼウス」がなぜ人気なのかを分析してきました。
確かに一見「素晴らしい!」投資信託のように思えますが、
ふたを開けてみると、単にたこ足配当の粗悪な投資信託であることがお分かりいただけたと思います。
投資の世界で勝つためには、金融機関が進めてくる新光US-REITオープン「ゼウス」のような投資信託を購入してはいけません。
なぜなら、金融機関は手数料報酬の高い商品を勧めてくるだけだからです(金融機関のもうけが高い)。
正しい知識を身に着け、正しい投資判断をすることが投資の世界で勝つことができる唯一の方法であることがお分かりいただけたと思います。
以上、投資信託人気ランキング上位の新光US-REITオープン(通称ゼウス投信)とは?今後の見通しとともに徹底解析。...の話題でした。